「ゲームが脳に良い影響を与える」という研究結果が、最近になって増えてきました。
「認知能力や、集中力を向上させる」という報告です。
さらにマルチタスク能力や、計画性にも良い影響を与えます。
その効果は短期的ではなく、一年以上に渡って継続します。
意外かもしれませんが、視力の向上まで認められています。
ゲームが脳に与える影響について、気になることをピックアップして解説していきます。
さらに、ゲーム脳についても説明します。
ゲームが脳に与える良い影響
アクションゲームには、認知能力を向上させるという良い影響があります。
注意力や集中力をアップさせます。
さらにはコミュニケーション能力(社会性)にも、良い影響を与える可能性があります。
まずは、ゲームが脳に与える「良い影響」について、詳しく説明します。
ゲームで認知能力がアップする
ゲームをプレイすることで、認知力がアップすることが判明しています。
アメリカのジュネーブ大学で、偶然的に発見されたものです。[1]
弱視の視覚テストで、満点を取った生徒たちがいました。
全員が満点を取るというのは、通常では考えられないことです。
教授らは、生徒たちの共通点を調べました。
満点を取った生徒たちは、全員「チーム・フォートレス・クラシック[2][3]」というゲームをプレイしていたのです。[4]
- 日経サイエンス2016年10月号に掲載。
- 3D空間で敵を倒すゲーム。いわゆる一人称タイプのFPS。
- Team Fortress Classic(Steamストア)
- ネイチャーに掲載された論文
ただし、認知能力をアップさせるのは、アクションゲームに限ります。
具体的にどういった能力が、向上するのでしょうか?
効果が見込めるのは、以下のような能力です。
- 細部の注意力アップ
- コントラストによる認知力
- 空間認知能力
- 同時に複数の作業をこなすマルチタスク能力
- 正確で細かい作業
- プレッシャーの掛かる状況下での適切な判断力
コントラストによる認知力とは
コントラストによる認知力とは、明暗に差がない場所で、物を識別する能力です。
例えば、濃霧の中でクルマを運転するのに役立ちます。
空間認知能力とは
空間認知能力とは、空間を把握して、自分自身をコントロールする能力です。
クルマの運転、レジの袋詰めまで、日常生活に多くのメリットがあります。
マルチタスクが得意になる
マルチタスクとは、レストランのメニューを見ながら会話をするといった「ながら作業」のことです。
あなたはレストランのメニューをチェックしつつ、会話にも意識を向けます。
こういった「脳の同時処理」をマルチタスクと言います。
アクションゲームをすることで、このマルチタスク能力が向上します。[1][2]
- 近年の研究において、マルチタスクは効率が悪いだけでなく、脳への悪影響が示唆されています。
- ゲームによってマルチタスク能力は向上しますが、普段はマルチタスクを控えるべきです。
マルチタスクについては、以下の記事にて詳しく解説しています。
さらにゲーマーの医師ほど「正確に早く手術を終わらせることができる」と、日経サイエンスの記事には書かれています。
社会性が身につく
社会性とは、相手の気持ちを理解し、良好なコミュニケーションをする能力です。
社会性は、立場によっても変化します。
自分の立場を守るための行動も、社会性のひとつです。
野生動物のように本能のまま行動すれば、コミュニティから追い出されてしまいます。[1][2]
- 社会性は人間以外の動物にも見られます。
- 魚にも社会性が見られます。
コミュニケーション能力とゲームには、関係性があります。
他人と協力してプレイするオンラインゲームでは、社会性の向上が認められています。[※]
ゲーム内で他人と協力することは、「現実社会でも他人に協力する」という行動に反映されます。
ただし、注意点があります。
他のユーザーに対する攻撃的な思考も、現実社会で反映される可能性があります。
つまり、社会的に正しいプレイならば、ゲームの外でも、社会性や協調性が反映されます。
反社会的なプレイは、現実においても、社会性や協調性を損なう傾向に繋がります。
これは、ゲーム側の設計で、解決ができる問題です。
非暴力的で、他人と強調するゲームであれば、社会性を身につけることが可能でしょう。
オンラインゲームの人間性は、現実の人間性が反映されることも判明しています。
「他人と協力する」というゲーム内容が重要です。
注意力がアップする
動物は自然界で生きるために、注意力を必要とします。
「命を脅かす可能性があるもの」を見つけるため、視覚や聴覚に集中します。
前述のように、3D空間で敵を倒すアクションゲームでは、注意力アップが見込めます。
こういったゲームは、自然界のどの環境よりも過酷で、一瞬の判断力が養われます。
何に対して注意力が必要かというのは、ゲームの進行によって、急激に変化します。
音、視覚、敵の動き、味方の動き。
何のヒントもない場所から、プレイヤーは狙われているかもしれません。
この急激な変化に対応するため、視覚や音への注意を素早く切り替えます。
これらの思考・動作が、注意力をアップさせます。
集中力がアップする
視覚や聴覚の注意レベルを引き上げることで、動き、音、色の違いなど、認識力が向上します。
そして、注意する必要のないものは、「遮断」ができるようになります。
集中力に必要なのは、この遮断する能力です。
音を遮断すれば、周りの雑音を気にせず、作業に集中ができます。
視覚についても同様です。
いろんな物が視界に入ってきても、動く物だけを見分けたり、音だけに集中することができます。
「わざと集中力が散らされる環境下」での研究があります。
アクションゲームをする人は、頭頂葉などの脳部位が、積極的に活動します。
アクションゲームをしていない人は、あちこちの脳部位が活動し、集中できない状態になっていました。
これらのことからも、アクションゲームには、集中力をアップさせる効果があります。
注意欠陥障害や認知力低下の改善について
注意欠陥障害や、認知力改善を目的に、ゲームを利用した研究が進められています。
治療が必要な人には、一般販売されているアクションゲームは不向きです。
3D空間で敵を倒すようなアクションゲームは、あまりにも展開が早すぎて、患者がついていけません。
専用のゲームを開発する必要があります。
しかし効果が認められて、実際に認証されるまでは、相当な時間が掛かります。
代表的な研究向けのゲームでは「ニューロレーサー」があります。
カリフォルニア大学のサイトに、研究向けのゲームが多く掲載されています。
例えばエースというゲームは、自分の認知力や注意力、脳の短期記憶、目標管理能力を知ることができます。
ビープシーカーというゲームは、他のことに気をそらさないように、注意力を鍛えます。
その他にもカリフォルニア大学のサイトには、脳を鍛えるためのゲームが紹介されています。
ゲームで視力がアップする
「ゲームをすると目が悪くなる」と、聞かされてきた人は多いと思います。
実際は逆です。
アクションゲームをすることで、視覚判断力や、動体視力が高まります。
この研究は、ネイチャーにも掲載されています。
視力の向上は一時的なものではなく、1年以上の継続的なものです。
ゲームで視力が落ちることはありません。
視力に最も影響を与えるのは、遺伝です。
他にも国立小児病院や、愛知工業大学の研究論文でも、ゲームによる視力低下が否定されています。
ただし、画面のブルーライトを見続けると、人体に悪い影響があります。
ブルーライトの問題は、知っておくと良いでしょう。
計画性が身につく
2〜3日でクリアできるゲームは、少ないものです。
長期的なゲームのプレイは、計画的なスケジュールを組む能力を高めます。
ゲームにもよりますが、数分でステージをクリアし、1時間単位でまとまった区切りを終えます。
そして数日以上の長い期間をかけて、ゲームをクリアします。
ゲームの中でも、スケジュールを意識して、プレイすることが大切です。
(受動的な思考は、脳に良い影響を与えません)
マインドスポーツはゲームが最適
将棋や囲碁といったマインドスポーツは、ゲームによって効率よく脳を鍛えることができます。
長期間のゲームプレイによって、普段は使うことのない「脳の領域」が使われるようになります。
これは、将棋や囲碁のプロだけが使う「脳の領域」です。
「直感を鍛える方法」の記事に、理化学研究所の研究内容も紹介していますので、ご参考ください。
将棋や囲碁は、マインドスポーツと呼ばれています。
マインドスポーツのプロは、まさしく運動の脳領域を使うのです。
ゲームのプレイを続ければ、アマチュアであっても、脳の使い方が変化します。
研究内容の動画
ここまでの「ゲームが脳に与える影響」は、ジュネーブ大学、ロチェスター大学の研究報告から解説しています。
アクションゲームが認知能力を向上させるのを発見したのは、バヴェリア教授です。
ちょうどYoutubeにも、バヴェリア教授の講演がアップされています。
大変分かりやすい内容なので、見ることをオススメします。
長期的な研究の結果
アクションゲームが好きな人は、「もともと認知能力が高かった」という可能性はあるのでしょうか?
2017年11月、バヴェリア教授らは、15年間に渡る大規模な研究結果を報告しました。[参考文献※7]
この研究により、「もともとの認知能力」に関わらず、アクションゲームで認知能力が向上すると判明しました。
アクションゲームを1日1時間程度プレイすれば、数ヶ月程度で、認知能力テストの結果が向上します。
この研究により、認知能力の改善に、新しい道が開かれました。
プレイ時間は関係するか? 長時間のゲームは?
ジュネーブ大学の研究を紹介します。
ゲームは1日1時間程度のプレイでも、認知能力アップに効果が認められています。
長時間のゲームプレイは、脳に悪い影響があるのでしょうか?
ゲームに中毒性があるかどうかは、議論もあります。
しかし2017年12月、WHOは、ゲーム障害を公式に認めると発表しました。
(2018年の国際疾病分類に追加されるとのことです)
「自分の意志でゲームを辞められない」のであれば、注意が必要です。
ゲーム依存症は、薬物、アルコール、ニコチン、ギャンブルなどと比べて、リスクは少ないです。
しかし最近のゲームは、課金というギャンブルに近い要素もあります。
これらのゲームは、わざと中毒性の高い要素を盛り込んでいます。
あらかじめリスクを警戒していれば、衝動性を抑えることができます。[※]
- 脳の前頭葉は、衝動性を制御する自制心の機能があります。
- 前頭葉が萎縮すれば、自制機能が働かなくなり、依存症に陥ります。
ゲームをやりすぎることのリスクについては、以下の記事に詳しく書いています。
この記事では、1日9時間以上もプレイするゲーマーに、中毒の危険性があるという研究結果も紹介しています。
適切な時間であれば、ゲームは脳に良い影響を与えます。
しかし、やり過ぎると、精神や肉体へのリスクがあります。
これらを知った上で「のめり込みすぎない」ように、注意しましょう。
ゲームで脳を鍛えることについて
これまで「ゲームが脳に与える良い影響」をピックアップしました。
しかし、拡大解釈をしてはいけません。
五感を使った遊びに対して、ゲームはかないません。
特に幼少期では、五感をフルに使う遊びが重要です。
(これを否定する科学者・医学者はいないと思います)
少なくともゲームは親指、人差し指、中指ぐらいしか使いません。
もちろん嗅覚や味覚も使いません。
ゲームが脳に与える良い影響とは、あくまで認知、集中力、計画性など、特定のものです。
結局のところ、ゲームによって脳を鍛えるのは「あり」なのでしょうか?
その問いに答えていきます。
無理にゲームをする必要はない
脳を鍛える目的でゲームをするのは、本末転倒ともいえます。
前述の通り、幼少期では、体を使うことが重要です。
良い影響があるからと言って、ゲームをやり続けるのは、時間の浪費といえます。
あくまで自分の時間として、ゲームを楽しむぐらいが良いのでしょう。
クルマのレースゲームと実際の運転
例えばクルマのレースゲームによって、空間認知能力が鍛えられたとします。
空間認知能力は、クルマの運転に大きく影響します。
ゲームでの上達は、本物の運転スキルにも、良い影響をもたらします。
しかし「無謀な運転へのリスク」が高まります。[※]
クルマのレースゲームは、実際の運転でも注意力をアップさせる反面、自信過剰に繋がる危険性も含んでいます。
これらを理解して、ゲームと上手く付き合うことが必要です。
脳に良いゲームとは?
具体的にどんなゲームが脳に良いのでしょうか?
前項で紹介した「チーム・フォートレス・クラシック」は、あまりにも日本人向けではありません。
認知力をアップさせるアクションゲームとしては「コールオブデューティ」なども、よく聞く名前です。
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」も自由度が高く、いろいろなアイデアを試せます。
その前に「ゼルダの伝説」シリーズは、昔からワーキングメモリをフルに使うゲームです。[1][2]
- ワーキングメモリを鍛えると、仕事や勉強にも有利です。
- (ワーキングメモリの研究で有名な)クリングバーグ博士の著書には、「ゼルダの伝説シリーズ」が、ワーキングメモリを鍛えることについて書かれています。
脳に良いとされるゲームが増えてきたので、一部を紹介します。
マインクラフト
マインクラフトは「ゲームが脳に良い影響を与える」という文献に、多く登場します。
創造的である点は、研究者たちにも評価されています。
プレイステーションブログでも、マインクラフトの教育効果がピックアップされています。
マインクラフトは、創造力だけでなく、論理的思考も身につきます。
プログラミングのように、回路を作ることができるからです。
受動的ではなく、能動的なゲーム要素が、子どもにも良い影響を与えるのでしょう。
マインクラフトの研究報告
2019年7月、マインクラフトが「クリエイティブ能力を高める」という研究報告が出てきました。[参考文献※8]
テレビや他のゲームと比べて、マインクラフトをプレイした人は、クリエイティブ能力を測るテストで良い成績を収めました。
不思議なことに、マインクラフトでクリエイティブなプレイを指示すると、「クリエイティブ能力がアップされない」という結果になっています。
プレイスタイルを制限すると、クリエイティブ能力に影響があるようです。
マインクラフトをプレイした感想
私も実際にマインクラフトを購入しました。
自分で目的を決めて、「何が必要か」を考えながら進めるゲームです。
計画性や創造性など、社会に出てから必要な思考力を使います。
材料を集めたり、道具を生成するのには、ワーキングメモリを使います。
アクション要素もあるので、認知能力の向上も期待できます。
マインクラフトは、もっとも脳に良いゲームかもしれません。
このゲームでは、自分が好きなように家を建てることができます。
これはワーキングメモリをフルに使うだけでなく、計画性も身につきます。
マインクラフトは、脳トレをするよりも、脳のトレーニングに役立つでしょう。
以下の記事では、「脳トレのゲームに効果があるか」という疑問を解説しています。
MOBAやRTS
MOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)というジャンルがあります。
このジャンルのゲームは、ルールが難しい上に、頭脳を使います。
囲碁やチェスなどの「マインドスポーツ」が進化したようなゲームです。
近年の研究で、MOBAのゲームスコアが、IQの高さと相関することが分かりました。
MOBAのゲームは、ワーキングメモリを使い、戦略的な思考を必要とします。
そういった疑問について、以下の記事に詳しく書いています。
シムシティ・エデュ(SimCityEDU)
シムシティは、有名な都市育成ゲームです。
アクション要素はありません。
そのシムシティを教育用に開発したのが、シムシティ・エデュです。[※]
- 公式サイトへはアクセスできません。
都市の公害問題を解決するには、どうすれば良いでしょうか?
シムシティ・エデュには、科学的な解決スキルを育てる要素が、多く含まれています。
米国では、(実験的に)授業でも使われているゲームです。
私はこういった取り組みが、日本でも出てくることを期待しています。
「ゲーム脳の恐怖」という嘘
2002年にNHKから出版された「ゲーム脳の恐怖」という本があります。
マスメディアに支持されて、世間一般に広まってしまいました。
ゲーム脳は、多くの科学者から批判されました。
2002年は、前述のジュネーブ大学の研究論文が出る1年前です。
ゲーム脳は、あらためて否定する必要がないかもしれません。
それほどの疑似科学です。
森は、独自開発の簡易脳波計でゲーム中の脳波を測定する実験によって、「テレビゲーム・携帯電話のメール入力・パソコンといった電子機器の操作が人間の脳に与える悪影響」を見出したと主張している。ここでいう「脳に与える悪影響」とされるものを象徴的な言葉で表現したのが「ゲーム脳」である。
出典元:ゲーム脳 – Wikipedia
「ゲーム脳の恐怖」について詳しく知りたい方は、上記のWikipediaをご参考ください。
(時間を浪費するかもしれません)
なぜか、独自開発の脳波計が使われています。
この研究は、あまりにも無意味です。
「ゲーム脳の恐怖」によれば、認知症に近い脳波を示すのが「ゲーム脳」だそうです。
これでは「ゲームにより認知能力がアップした」というジュネーブ大学の研究結果と真逆です。
ゲームによって認知能力が高い状態にも関わらず、認知症を主張するということは、やはり機器や測定方法に不備があるのでしょう。
他にも前頭前野や高次脳機能についても、矛盾した主張が目立ちます。
おそらく、「ゲームが脳に悪い」という、結論ありきの研究だったのでしょう。
いずれにしても「ゲーム脳」が、脳科学の本に取り上げられることはありません。
ゲーム脳という言葉には注意が必要です。
ゲームを利用した注意欠陥障害や、認知力低下の改善、教育への利用という発想ができなくなってしまいます。
ネット上にも不安を煽るゲーム脳の解釈がある
現実の風景とゲームの映像がリンクする現象について、ゲーム脳だという主張が、ネット上に多く見られます。
これらは記憶の想起と、問題解決の思考です。
脳にとって、悪いことではありません。
これらの主張は「ゲーム脳」という疑似科学をさらに広げたものです。
ゲームをしているからといって、「他人より脳が劣る」という心配は、無用です。
ゲーム脳ではなくGTP
以前は、ゲームと現実の世界がリンクすることを「テトリス効果(Tetris Effect)」と呼んでいました。
近年では、GTPという名称が付けられています。
そして良い意味でも使われています。
例えばクルマの運転をしている場合です。
雪道で後輪が滑った時、私たちは対処ができるでしょうか?
このような訓練は、教習所で習いません。
ニュー・サイエンティスト[※]の記者であるサリー・アディー氏は、雪のニューヨークで後輪を滑らせてしまいパニックに陥りました。
しかし反射的にハンドルを逆方向に切って、事故を回避することができました。
マリオカートで身につけた直感に救われたのです。
- 信頼性が高い科学誌。New Scientist。
子供のゲームとADHD(発達障害)の関連性は?
ゲームとADHD(発達障害)は、何か関連性があるのでしょうか?
気になる方が多いと思います。
しかし、心配する必要はなさそうです。
ストックホルムのターケル・クリングバール氏[※]は、ゲームとADHD(発達障害)の関連性を否定します。
- ワーキングメモリの研究で有名
新たな研究報告があっても、それらは疑わしいと言います。
確かに注意欠陥や多動性、衝動性などは、ゲームに関係するとは思えません。
例え「ADHDの子どもは、そうでない子どもよりゲームをしている」という研究データがあっても、ゲームが直接の要因にはなりません。
ADHDになる説明ができないからです。
私も海外の研究データを探してみましたが、心配するような文献はありませんでした。
ゲームでなくても、子どもにスマホやタブレットを使わせるのは良いことでしょうか?
幼児期には、誰かと一緒に遊ぶことも大切です。
以下の記事では「子どもはゲームやテレビによって、社会性に悪影響を及ぼすリスクがある」という研究報告を紹介しています。
まとめ
「ゲームには悪い影響が多い」と、世間で認知されていますが、実際は良い影響が多くあります。
海外でも、日本と同じように、ゲームは悪者にされています。
凶悪な事件が発生すれば、犯人が暴力的なゲームをしていたと、メディアに大きく報じられます。
そんな風潮に一石を投じるように、ジュネーブ大学とロチェスター大学では、積極的にゲームと脳について研究がされています。
両大学の教授による研究内容は、欧州神経科学会の目玉講演にもなっています。
それほど、大きな衝撃を与えるものだったのでしょう。
ゲームは「脳にとって何もかも悪い」と、感情的な批判をする科学者もいます。
ジュネーブ大学・ロチェスター大学の研究は、Scienceやnatureなど、世界でも特に権威のある学術雑誌で紹介されているのも、重要なポイントです。
アメリカでは、教育用ゲームの開発が進んでいます。
海外の動向をチェックしながら、ゲームと教育について考えるのも良いでしょう。
子どもにとっては、勉強へのモチベーション維持が、最も大きなゲームの効果かもしれません。
年齢を重ねるとゲームをする暇がなくなるので、若いうちに楽しんでおくのも良いでしょう。
(といっても、ゲーム人口の平均年齢は30代です!)
ただし、後悔しない程度にです。
幼少期は、なるべく「体を動かす遊び」が大切です。
追記
2017年7月、朝日小学生新聞の「子どもとゲーム」実態調査リポートにて、類似した調査が行われました。
ゲームをする子どもは、集中力、社会性、コミュニケーション能力、計画性などが優れています。
この記事で紹介しているような内容と、ほぼ同じ結果です。
調査内容の信頼性は高くありませんが、あらためてゲームの有用性が裏付けされました。
参考文献
この記事は以下の文献を参考にして独自の解釈でまとめています。
- 日経サイエンス2016年10月号
- オーバーフローする脳―ワーキングメモリの限界への挑戦 ターケル・クリングバーグ (著), 苧阪 直行 (翻訳)
- 依存症 – 脳科学辞典
- Science
- nature
- New Scientist
- Meta-Analysis of Action Video Game Impact on Perceptual, Attentional, and Cognitive Skills.
- Video Games can Increase Creativity, but with Caveats