ワーキングメモリ(作業記憶)を解説|頭の良い人はどう使っている?

ワーキングメモリのイメージ図

ワーキングメモリの優れた人は、頭が良いとも言えます。

私たちは才能のある人を見ると、このように思うことがあります。

どうやったら、そんな発想ができるの?

ほんのわずかな時間で、ベストな判断をする人がいます。
それらには、ワーキングメモリが深く関わります。
ワーキングメモリは、頭に情報を並べ、瞬時に処理する能力です。

この記事では、ワーキングメモリについて説明します。

頭が良い人は、ワーキングメモリをどのように使っているのでしょうか?
そんな疑問と、ワーキングメモリを鍛える方法についても解説します。

ワーキングメモリ(作業記憶)とは?

ワーキングメモリは、なぜ「頭の良さ」に関わるのでしょうか?
まずは「ワーキングメモリとは何か?」を説明します。

以下のサイトが、丁寧でしっかり書かれていますが、難しいかもしれません。

http://home.hiroshima-u.ac.jp/hama8/working_memory.html

この記事では、シンプルに説明していきます。
まずは短期記憶と、ワーキングメモリ(作業記憶)を知っておくと、分かりやすくなります。

短期記憶

人間はランダムな数字なら、7つ前後を一時的に覚えられます。[1]

  1. マジカルナンバー7とも言います

単語であれば、4つ前後を覚えられます。
覚えられる時間は、数十秒程度です。

短期記憶を使ってメモをする

電話番号をメモするまでのあいだ、頭の中に維持する記憶です。
声(音韻)で覚えたり、目(視覚)で覚えたりします。

この一時的な記憶を「短期記憶」と言います。

メモを終えたら、電話番号の記憶は捨てられます。
しかし何度も繰り返し覚えることで、後日でも思い出せる長期記憶に移送されます。
繰り返すことによって、脳が重要な記憶だと判断するからです。

ワーキングメモリの例

必要な情報を記憶から取り出し、一時的に置いておくのがワーキングメモリです。
これはワーキングの意味の通り、作業をするための領域です。
(作業記憶とワーキングメモリは同じ意味です)

よく作業机に例えられます。

作業机の上に、必要な情報を置き、情報を処理します。

この処理能力が、ワーキングメモリです。
記憶から取り出した情報を保持できるのは、やはり7つ前後です。
保持できる時間も、数十秒程度です。

作業机も分かりにくいので、具体的な例を示します。

ある仕事を依頼されました。
納期以外は、決まっていません。

まずスケジュールを決めるのが、最初の仕事です。
スケジュールの決定は、ワーキングメモリをフルに使う必要があります。

ワーキングメモリの図

ワーキングメモリの図A

ワーキングメモリの図Aを見てください。
吹き出し(青)が、記憶から取り出している情報です。

ワーキングメモリを使って、これらの情報を組み合わせ、スケジュールを作成します。
吹き出しの情報が保持できるのは、4〜7つ前後です

※最近の科学では、ワーキングメモリは「4つ程度」と言われるようになりました。
さらに、柔軟性があります。
課題や必要に応じて、ワーキングメモリの容量は柔軟に変化します。

スケジュールができたら、吹き出しの情報は捨てられます。
次の行動に対して、新たなワーキングメモリを使うからです。

吹き出しの情報が7つ以上だったり、ワーキングメモリに自信がない場合は、どうすれば良いでしょうか?

良い方法は、吹き出しの情報をメモに書いて、視覚化することです。
頭の中で考えるより、ずっとラクに正解にたどり着けます。
視覚化しておけば、ワーキングメモリの負担も軽くなるのです。

たった2つの商品を比較するの時も、メリットとデメリットをメモすれば、ワーキングメモリに負担を掛けずに決めることができます。

ワーキングメモリと頭の良さ

ワーキングメモリには、3つの特性があります。

  • 優先順位を付けて、情報を処理する
  • 関係のないものは、無視する
  • 情報を処理するために、記憶を(一時的に)保持する

先ほどの「ワーキングメモリの図A」でも、優先順位を処理することが必要です。
「Aさんは後から合流」という情報は、スケジュールに大きく影響します。
優先順位が高い情報です。

ワーキングメモリで優先度を決めているイラスト図

グレーの吹き出しは、スケジュールを考えるのに、優先度が低いものです。

3つの特性のうち「関係のないものは、無視する」とは何でしょうか?

これは「スケジュール作成に不要な思考を無視する」という意味です。
例えば、外から聞こえる話し声です。
話し声は、意識するとワーキングメモリの中に入ってきます。

これだけでワーキングメモリが圧迫されます。
そして、話し声を除外するのにも、ワーキングメモリが必要です。

なんとなく「ありとあらゆる思考に必要」と思いませんか?

ワーキングメモリは、あらゆる意志決定に必要です。
何か作業をしたり、創作的な活動でも、ワーキングメモリは使われます。

これが「ワーキングメモリの優れた人は、頭が良い」と言われる理由です。
しかし、それは言い過ぎです。

ワーキングメモリを使うのが苦手な人

一部の人は、ワーキングメモリを使うのが苦手です。
ワーキングメモリが使えないからと言って、頭が悪いということはありません。

例えば「同時通訳」です。
同時通訳は、ワーキングメモリを使うと、素早い言語変換ができません。

また、ワーキングメモリが少ない人は、短期記憶力にも優れます。
これは、特殊な才能を持っている人に多い特長です。

ワーキングメモリの処理が苦手な人は、才能を眠らせている可能性があります。
そしてワーキングメモリを問題なく使える人にも、重要な視点です。
なぜなら、それぞれ違う能力を持つ人たちが集まれば、単一の能力の集団よりも、優れた結果を出せるからです。

短期記憶と作業記憶の違い

作業記憶(ワーキングメモリ)は、短期記憶と同じ意味で語られることがあります。[※]

  • ※概念は同じとしても、ここでは短期記憶とワーキングメモリを区別しています。

短期記憶と作業記憶(ワーキングメモリ)の違いは、処理をするかどうかです。
短期記憶は、処理をする必要がない記憶です。

短期記憶のトレーニング方法

このような課題は、処理をしないので短期記憶です。

ワーキングメモリ(作業記憶)は、何かしらの操作や、処理をするのに使います。

ワーキングメモリの使い方の説明図

上図のような暗算では[37+36=73]を頭の中で保持します。
ワーキングメモリがあれば、73という数字をメモに書く必要はありません。

年齢によって衰える

ワーキングメモリは、年齢を重ねるごとに衰えていきます。
およそ15歳から40歳の間がピークです。

記憶そのものが、衰えるのではありません。
年齢を重ねると、その分だけ「経験による記憶」が蓄えられます。

したがって「良い経験」が多いほど、良い意志決定ができるようになります。
ワーキングメモリが劣っても、良質の記憶に助けられるのです。

ネガティブな思考が頭から離れない

失恋や不幸な出来事は、ワーキングメモリに滞在しやすくなります。
「失恋後は仕事にならない」という理由のひとつです。

理不尽なことを言われても、同じくワーキングメモリを占拠します。

これらは解決が難しいのですが、対抗する方法はあります。[※12]
まずは「ワーキングメモリが占拠されている」と、認識することです。
次に、場所を移動するなどして、気分を変えてください。

(私が調べた限りですが)これ以外の方法は、研究報告が見つかりませんでした。
ある医学者は「不幸な出来事をノートに書くと、ワーキングメモリに入らなくなる」とも言います。
おそらくですが、ノートに記録することで、頭の中にとどめる必要がなくなるからでしょう。

頭が良い人はワーキングメモリをどう使っている?

頭が良い人は、ワーキングメモリをどのように使っているのでしょうか?
これは仕事ができる人も、スポーツ選手にも共通します。

ワーキングメモリは、脳の指揮者とも言われます。
ワーキングメモリが優れた人の頭を見てみましょう。

報酬を後回しにできる

ワーキングメモリが優れた人は、報酬を後回しにすることができます。

これが最も重要なワーキングメモリの使い方です。

心理学の有名なテストに、マシュマロテストがあります。
このテストの対象は、幼児です。

  • マシュマロを今すぐ食べられる
  • 15分がまんして、マシュマロを2つもらう

この2択を選ぶテストです。
15分我慢すれば、マシュマロを2つ食べることができます。

ワーキングメモリが優れた幼児は「15分後にマシュマロを2つもらう」を選ぶことができます。
これは人生において、成功の要因です。

どうしてマシュマロを我慢できれば、成功できるのでしょうか?
それは「すぐに結果が返ってこないこと」に打ち込めるからです。

言い換えると「努力の継続」とも言えます。

結果とは報酬です。
金銭的な報酬だけでなく「うれしい感情」も報酬に含まれます。[1][2]

  1. 脳科学では報酬系回路と言います
  2. 報酬系回路は金銭だけでなく、うれしい感情や、アルコールにも反応します

報酬が得られるまで練習に耐えることは、プロスポーツでも成功の要因です。
同じように仕事であっても、結果が得られるまで続けることは、成功するのに必要不可欠なことです。

そして報酬を後回しにするには、ワーキングメモリを使います。
これはモチベーション管理のひとつです。

私たちは、将来得られるはずのマシュマロを目指し、練習や作業に没頭します。
そのときワーキングメモリの中には、当面の目標が入っています。

優先順位を決めている

ワーキングメモリは、優先順位を決めるのにも使われます。
仕事ができる人は、記憶から取り出したものに対し、何が重要かを瞬時に判断します。
そして重要な要素を優先し、処理に使うことができます。

よりよい記憶が必要

ワーキングメモリは、記憶からモノを取り出し、情報を処理します。
良い経験を積めば、より良い記憶を選ぶことができます。

時にはリスクを選びます。
将来、賢くリスクを選べるように訓練をするためです。

いらないモノを排除する(集中力)

ワーキングメモリは、不要なものを排除します。

周囲の雑音、今日の夜は何を食べるか、休日の予定、これらは今の作業に不要です。

ワーキングメモリは、集中力にも関わります。
不要な情報を頭から排除するのに、ワーキングメモリを使っているのです。
結果的に集中できるようになります。

ノートに書く

「何をするべきか」をノートに書けば、ワーキングメモリの負担を減らすことができます。
ワーキングメモリの負担を減らせば、個々の行動に対して、情報を処理しやすくなります。

以下に具体的な例を示します。

ワーキングメモリをノートに書く図

ホームページを作る工程

左側の工程を書き出しただけで、デザイン工程に集中できます。

ノートに書くだけで、全体的に情報が処理しやすくなるのです。
ワーキングメモリの中を整理するには、この方法が有効です。

ワーキングメモリを削ってミスを防ぐ

ワーキングメモリをフルに使うと、頭の中が疲れてしまいます。
これは、典型的なミスの原因です。

例えば「A→B→C→D」の作業を7セットする場合です。
「AからD」の作業を、ワーキングメモリにセットすると、ミスが起きやすくなります。

そこで「A」だけの作業を7セット行います。
次に「B」だけ7セット、「C」だけ7セット……という作業順にすれば、ワーキングメモリを削減できます。
たったこれだけです。
ミスが減るだけでなく、劇的に作業効率がアップします。

創作物でワーキングメモリを意識する

創作物では「ワーキングメモリの容量が7つ前後」という法則を意識して書きます。
ドラマの脚本、小説、映画、いずれにしても登場人物は、7人以下にしましょう。

主要人物が7人を超えると、視聴者や読者が混乱します。
(できれば6人以下が良いでしょう)

また「悪役3人集」などは、1つのまとまりとして、ワーキングメモリで処理されます。
このグループ化によって、登場人物を増やすことが可能です。

連載や放映回数の多い物語では、そのグループ内のひとりにフィーチャーする回があります。
ストーリー単位なので、「退場」や「再登場」などのテクニックも、よく使われます。

一方で映画のように、1回で終わる物語では、使えない手法です。
実際に、登場人物が7人を超える物語は少ないです。

認知特性にあったワーキングメモリを使う

ワーキングメモリは、視覚や聴覚から入る情報を処理します。

例えばデザイナーや写真家などは、視覚情報を処理するのが得意です。
音楽家やお笑い芸人さんは、聴覚情報を処理するのに優れています。

これらを認知特性と言います。

頭が良い人は、自分の認知特性にあったワーキングメモリの使い方をしています。
視覚タイプの認知特性を持つ人は、聞いた情報をメモに書いて、視覚化すれば処理しやすくなります。

ワーキングメモリのトレーニング

ジョギングをする女性

ワーキングメモリを鍛える方法があります。

その方法は、筋肉によく例えられます。
人間はトレーニングによって、脳を変化させることができるからです。

ワーキングメモリに負荷を掛ければ、鍛えられます。
しかし使わなければ、衰えてしまいます。

そして注意点があります。

ワーキングメモリには限界があるのです。
どんなに鍛えても、超人のような才能を持つことはできません。

多くの研究者が、ワーキングメモリを鍛える方法について研究しています。
しかし、科学メディアを騒がせるような「決め手」に欠けるのが現状です。

それでも効果が見込める方法を紹介します。

ランニング(ジョギング)をする

ランニングはワーキングメモリに負荷をかけます。[※1]
注意力や体力のコントロールに、ワーキングメモリを使うからです。

ランニングは、どれぐらいのスピードが必要でしょうか?

ちょうど会話ができない程度のスピードで十分です。

ウォーキングは脳に良い有酸素運動ですが、ワーキングメモリには負荷を掛けません。
少し早い程度のジョギングが最適です。

本当は「裸足でのランニング」の方が効果を見込めます。[※2]
地面に対して注意するようになり、ワーキングメモリを使うからです。
興味のある人は「裸足 ランニング」でネット検索して見てください。
(私はそこまでする必要はないと思います)

また年齢を重ねることで、ランニングにはリスクが発生します。
無理はしないでください。

瞑想をする

瞑想はワーキングメモリを強化させます。[※10][※3]
これは多くの研究によって、裏付けがなされています。

瞑想の時間は、1日20分程度で良いでしょう。

瞑想が直接ワーキングメモリを強化させるというよりは、瞑想によって得られる集中力と、ストレス耐性によるものと見た方が自然です。
瞑想は集中力を向上させ、周囲の雑音や余計な思考を排除できるようになります。(注意力をコントロールできる能力です)
瞑想はストレスを解消させるだけでなく、ストレス耐性も付きます。

集中力とストレス耐性は、ワーキングメモリのテストに有効です。

読書をする

読書はワーキングメモリのトレーニングに最適かもしれません。
ワーキングメモリに負荷を掛けつつ、新しい知識が、脳に報酬を与えてくれます。

ただし本の内容によります。[※5]
ワーキングメモリに負荷を掛けないといけません。

最近の本は、読み手の負荷を掛けないように、文章が短くなっています。
自分にとって興味があり、少しだけ難しい内容が良いでしょう。
(読み返して理解できるぐらいの難度が最適です)

新聞は見出しに内容が集約されているので、思った以上にワーキングメモリを使いません。

英語を習う(他の言語を学ぶ)

他の言語を習うことは、ワーキングメモリに負荷を掛けます。[※1]
単語を頭の中で、頻繁に保持するからです。

自分なりで良いので、翻訳するのがオススメです。
翻訳は、前後の文章をワーキングメモリに入れて、意味を理解する必要があります。
この作業がワーキングメモリに負荷を掛けます。

スケジュールを決める

これは私からの提案です。

仕事では納期が決まっていることが多いので、あまり気にしないかもしれません。
仕事以外でも、スケジュールを決めることで、ワーキングメモリを鍛えられます。

仕事ができる人は、仕事以外のことでもスケジュールを決めます。
旅行や趣味でも、当初の計画と、どれぐらいズレがあったかを後で検証します。
無理してまで、計画に合わせる必要はありません。
楽しむのが前提です。

仕事をする

仕事をしないと、ワーキングメモリを使わなくなります。
できるだけ複雑な仕事をすることで、ワーキングメモリに負荷が掛かります。
新しいことにチャレンジするのも効果的です。

単純作業であっても、目標を決めたり、工夫を凝らすのが大切です。
ワーキングメモリが優れた人は、皿洗いや掃除をしながら、空想することができます。

数字を記憶するトレーニング

ワーキングメモリを向上させるトレーニングを開発した研究者がいます。[※5]
ストックホルムのターケル・クリングバーグ氏です。
ワーキングメモリで有名な研究者です。

下図のようなトレーニングです。

ワーキングメモリの鍛え方

ランダムで選ばれる7桁の数字を覚え、30秒後に答えます。
このトレーニングによって、脳[1]が変化します。

  1. ドーパミン受容体D1

しかし現実的に難しいかもしれません。

トレーニングの量は、1日35分です。
これを週5回、5週間継続します。
(私には無理です)

自由度の高いゲームをする

ゲームは集中力や認知能力を向上させます。

ゲームは脳に良い影響を与えます。

しかし脳トレを宣伝文句にしているゲームほど、ワーキングメモリは向上しないことが分かっています。

自由度の高いゲームは、ワーキングメモリを使います。
単純なゲームでは、あまり効果を見込めません。

どんなゲームが良いでしょうか?

マインクラフトはワーキングメモリを使う

私はマインクラフトというゲームをオススメします。
最もワーキングメモリを使うゲームだと思います。

このゲームの中では、家を建てることができます。
材料を集め、道具を作ります。
ワーキングメモリに負荷を掛けるには、家を建てるスケジュールを決めることです。

ネット上にある、マインクラフトの素晴らしい家を見ないでください。
真似をすることは、ワーキングメモリに負荷を掛けません。

その他のリスト

ワーキングメモリには、集中力(注意力)が必要です。
集中力を邪魔するモノは、取り除きましょう。

マルチタスクをしない

マルチタスクとは、ながら作業です。
耳で聞きながら、目と手を使って、作業するようなことです。

食事をしながらテレビを見たり、歩きスマホ、運転中の会話もマルチタスクです。

ワーキングメモリの優れた人は、マルチタスクが得意です。
皮肉なことに、マルチタスクが多い人ほど、ワーキングメモリの容量が小さくなります。(研究データは高齢者が対象です)[※6]

マルチタスクは気分を良くします。
しかし、それ以外は脳に悪いと言うことです。

マルチタスクとは【人間の同時作業】脳への影響とやめるべき行為とは?

マルチタスクとは【人間の同時作業】脳への影響とやめるべき行為とは?

ワーキングメモリの向上に役立つリスト

上記で紹介した他にも、ワーキングメモリの向上に役立つことがあります。
それらのリストを以下にまとめました。

  • テレビを見ない
  • 机を整理・整頓する
  • 相手を楽しませる
  • 料理のレシピを考える
  • 十分な睡眠をとる
  • タバコを断つ
  • 相手の話を聞き、頭にとどめる(相手の話を遮らない)

これらは脳に良いとされることです。

特に相手とコミュニケーションをとるには、ワーキングメモリを使います。
相手の話を遮らず、一通り聞いて、頭に入れることが大切です。

リアルのコミュニケーションが難しい場合は、SNSでの交流でも構いません。
本名を使う必要もありません。

脳トレはワーキングメモリを向上させるか?

ワーキングメモリを鍛えるという脳トレがあります。

本当に効果があるのでしょうか?

少なくとも「脳を鍛える大人のDSトレーニング」には、ワーキングメモリを改善する効果はありません。

脳トレのゲームについては、今も科学者らの意見が対立しています。
その対象は、ルモシティという脳トレゲームです。
ゲームを売るための研究という可能性もあるので、常に対立を生んでいます。

鬼トレはワーキングメモリを改善するか?

鬼トレはどうでしょうか?

「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」には、ワーキングメモリを鍛えるとあります。

東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング:ものすごく強力な脳トレ 鬼トレ
ニンテンドー3DS 専用ソフト『東北大学加齢医&#23...

このソフトに関しては、海外の科学者らの意見がほとんどありません。
前作で検証したから十分なのでしょうか?
それとも「ルモシティ」という脳トレのゲームに、興味が移ったのでしょうか?

ゲームの内容としては、ワーキングメモリに負荷を掛ける内容です。
効果は期待できそうですが、このゲームは苦行かもしれません。

ADHD(発達障害)は改善するのか?

ワーキングメモリのトレーニングでは、ADHD(発達障害)の改善は見込めないようです。
これはアメリカの「発達心理学ジャーナル」に掲載された研究報告です。[※9]
(2005年には「一時的な効果が見込める」という報告もありましたが、2012年に否定されました)

ワーキングメモリとADHDの関係は、ずっと議論されています。

もしADHDを改善するという脳トレーニングがあるなら、注意した方が良いでしょう。
ADHDを疑うならば、医師に頼るべきです。

ワーキングメモリに良い食べ物

サプリや食べ物によって、脳の変化を期待するのは、あまり良い手段ではありません。
精度の高い研究データを得るのが、非常に難しいからです。

そういった前提を踏まえて、ワーキングメモリに良いとされる食べ物を紹介します。

この項目については、研究報告があっても、あまり信頼して良いものではありません。
(もしかしたら効果が得られるかも、という程度の話です)

地中海の食べ物

地中海の食べ物は、ワーキングメモリの改善に効果を期待できます。[※7]
具体的には、エキストラバージンオイル、ナッツ類、魚介類です。
ワーキングメモリだけでなく、認知能力や記憶力にも改善が見られました。

ただしこの研究データは、高齢者が対象です。
また、地中海料理を日常的に食べるには、お金が掛かりすぎるという指摘もあります。

ココアやチョコレート

日常的にココアを飲む人は、ワーキングメモリの向上が見られます。[※11]
他の研究論文でも、チョコレートやココアには、ワーキングメモリの改善効果があるようです。

その他の食べ物リスト

地中海食以外に、ワーキングメモリの研究者たちが推奨する食べ物を紹介します。
これらに頼る必要はありません。
過度に期待せず「美味しく食べる」というぐらいの感覚が良いでしょう。

  • 緑茶
  • コーヒー
  • 紅茶
  • 魚類(DHA・EPA)
  • ベリー類
  • 牛乳

ビタミンB群のサプリメントは、記憶力アップに期待できません。[※8]
魚類(DHA・EPA)は、記憶力や作業記憶に「効果がある」という研究と、「効果がなかった」という真逆の研究報告があります。

確実に言えることは、ジャンクフードを避けることです。

まとめ

ワーキングメモリは、頭の良さに関わります。
そうは言っても、ワーキングメモリが少ないから「頭が悪い」とはなりません。

ワーキングメモリが小さい場合、頭で保持できる時間が短くなります。
これは同時通訳の職業に有利です。
前の記憶をすぐに消去できるからです。

ストレスを貯めないことも重要です。
余計な思考に、ワーキングメモリが引っ張られるからです。

失恋や自分のミスで落ち込むと、仕事にならなかった経験があると思います。
ワーキングメモリは、精神状態にも左右されます。

新しいことにチャレンジしたり、現状よりステップアップに意識を向ければ、ワーキングメモリは上手く働くでしょう。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でワーキングメモリについてまとめています。

  1. ワーキングメモリと日常 T.P. アロウェイ (著), R.G. アロウェイ (著)
  2. An Exploratory Study Investigating the Effects of Barefoot Running on Working Memory
  3. Examining the protective effects of mindfulness training on working memory capacity and affective experience.
  4. オーバーフローする脳―ワーキングメモリの限界への挑戦 ターケル・クリングバーグ (著)
  5. Changes in Cortical Dopamine D1 Receptor Binding Associated with Cognitive Training
  6. Proceedings of the National Academy of Sciences
  7. Mediterranean Diet and Age-Related Cognitive Decline
    A Randomized Clinical Trial
  8. Vitamin B may not reduce risk of memory loss
  9. Memory Training Unlikely to Help in Treating ADHD, Boosting IQ
  10. 脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する トレーシー・アロウェイ (著)
  11. Enhancing Human Cognition with Cocoa Flavonoids
  12. http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797611415539?journalCode=pssa
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