パワーポーズとは? それは効果がない。

パワーポーズとは何ですか?

面接や会議の前、緊張を消したいと思ったことはありませんか?
古いおまじない(手のひらに人の字を3回書く)ではありません。

パワーポーズという自信をアップさせる方法がありました。
その内容は、科学的で魅力があります。

以下のようなポーズをするだけです。

パワーポーズの例

パワーポーズは、緊張をやわらげ、その場面に対応する能力がアップするはずでした。

パワーポーズとは何か?

パワーポーズを解説したTEDのムービーがあります。

このTEDは日本語訳もされているので、分かりやすいです。

Amy Cuddy: Your body language may shape who you are | TED Talk

これを見たとき、多くの人は興奮しました。
TEDの動画だけで、4,600万以上再生されています。

パワーポーズの科学的な根拠は、以下の通りです。

  • テストステロンの量が20%アップする
  • コルチゾールの値が25%ダウンする
  • 楽観的になり、勝負に強くなる

テストステロンは男性ホルモンですが、女性にもあります。

テストステロンについて詳しく

テストステロンは、男性ホルモンのひとつです。
母親の胎内で、テストステロンを浴びる量、タイミングによって、性認識や思考に影響します。
女児がママゴトやぬいぐるみで遊ぶのに対し、男児がボールやミニカーで遊ぶ理由は、テストステロンを浴びた量と言われています。
ただし思考や性格が変わることについては、議論もあります。

確実に言えるのは「筋肉に影響する」ということです。
女性と男性が同じトレーニングをしても、足の速さが違う理由がテストステロンの量です。

生まれた後も、体内でテストステロンが分泌されます。
さらに近年の研究によって、女性にもテストステロンが分泌されることが判明しています。

コルチゾールは、ストレスのホルモンです。
コルチゾールの値が下がれば、ストレスの負荷が下がります。

コルチゾールについて詳しく

コルチゾールは、ストレスホルモンと呼ばれています。
単発的なストレスであれば、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されますが、継続的なストレスの場合、体内でコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールには、血糖値を上げて、長期的なストレスに対応する役割があります。

悪いことにコルチゾールがあるおかげで、ストレスにも慣れてしまいます。
ただしコルチゾールは「低ければ良い」というわけではなく、バランスが大事です。

パワーポーズは「身体言語」です。
身体言語とは「身振り・手振り」のことで、「笑顔」などの表情も含まれます。
つまり言語を使わず、相手に伝えるのが「身体言語」です。

有名な科学研究で、「笑顔を作ると楽しい気分になる」という報告があります。
楽しい気分だから笑顔になるのではありません。
笑顔を作るだけで、ドーパミンという快楽物質が生成されるのです。
しかし最近になって「その効果はわずかしかない」という結論に至っています。

パワーポーズに効果はない

パワーポーズは、再現ができないとして批判されてきました。
何十人もの研究者らがこの問題に取り組んでいます。

そして、レビューによって「パワーポーズに効果がある証拠はない」という結論に至っています。参考文献※1

アメリカでは、パワーポーズの書籍はベストセラーになっています。
それほどパワーポーズは、衝撃的な内容でした。

前かがみを避けよう

パワーポーズには、「机の上に足を乗せる」という酷い姿勢も含まれていました。
そのような姿勢は、もちろんやるべきではありません。

姿勢は、他人から見た印象を変えます。
「自分はそんな人間ではない」と自信を持っても、他人の目を書き換えることはできません。

やはり、背筋を伸ばした姿勢が一番です。
他人から良く見られるのに加えて、古い研究報告では、良い姿勢が気分を改善するとあります。

良い姿勢の心理効果はさておき、体には最適です。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. A Negative Effect of a Contractive Pose is not Evidence for the Positive Effect of an Expansive Pose: Comment on Cuddy, Schultz, and Fosse (2018)
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