簡単に幸福感を得られる方法があります。
これから紹介するのは、人生が変わるほどの幸福ではありません。
しかし、あなたの精神を癒やす方法です。
そんな日常のちょっとしたことで、幸福感を得られる方法を紹介します。
すべて科学的な研究によるものです。
まるで、心が温泉に入るような気分になれます。
私たちは、幸福を追い求めます。
しかし、大きな落とし穴があります。
この記事の最後に、幸福を求めることについても説明します。
もちろん、ここで紹介する幸福感を得る方法に、悪いものはありません。
たった2分でも幸せを得られる
毎日2分だけでも、実行できることがあります。
それは、自然に触れることです。
これは、学生395人を対象にした研究論文の内容です。
- 2016年のThe Journal of Positive Psychologyに掲載されています。[1]
家の植物、道路の花、鳥の鳴き声に意識を向けるだけです。
学生らは、たった2分、自然を感じることで、幸福感が得られました。
そして2週間続けると、人生への満足感が向上することも分かりました。
都市部の緑や公園には、様々な効果があります。
そのうちのひとつが、癒やしの効果です。
花の香りを嗅いだり、植物に目を向け、自然を感じる人は、幸せそうに見えます。
幸せだから自然を愛するのではなく、自然に意識を向けるから、幸せになるのかもしれません。
温かくするだけで気分が良くなる
次に簡単な方法は、温もりを得ることです。
数多くの研究で、温もりはストレスを下げ、幸福感を得ることが見つかっています。
私たちは、感情を「温かい」と表現します。
- 温かい人、冷たい人という表現は、世界各国で使われます。
冬場は、憂鬱になりやすい季節です。
しかし、幸福感を得る方法も増えます。
これらを実行すれば、冬が好きになるかもしれません。
温かいカップを持つだけ
2012年の研究によると、温かいカップを持つだけで、精神的な感情まで温かくなることが報告されています。[4]
社会的な疎外感まで改善されたようです。
実は「温かいだけ」で、他人の印象も変わります。
温度は、自分以外の人にも、影響を与えるのです。
例えば、ユニークな研究のひとつに「ホットコーヒー」を渡すだけで、第一印象が良くなったという調査報告があります。[5]
詳しくは、コーヒーの効果と効能という記事にて説明しています。
人間がビジネスで握手をしたがるのは、信頼を得たいからです。
冷たい人間に思われないように、手で温もりを与えているのです。
手を温める
手には、神経が集中しています。
他の部位よりも、敏感です。
前項の研究報告では、手を温めることで、幸福感が得られています。
冬場は、手袋をして防寒しましょう。
職場で手を温めるのは、難しいかもしれません。
小型の電気毛布を使って、手を暖めるのも良いでしょう。
私は昔、冬に自動販売機で、缶コーヒーを買って飲むのが好きでした。
何とも言えない「幸福感」だったのを思い出します。
室内温度は女性に合わせる
職場の室温調整は、女性に合わせる必要があります。
女性は男性よりも、寒さを感じやすい体質だからです。
これは筋肉の違いや、女性ホルモンの仕組みから来ています。
職場でのエアコンは、温度調整に配慮しましょう。
快適な室温は、22度〜25度です。
お風呂に浸かる
温泉に入るときの「幸福感」は格別です。
お風呂に入るだけで、幸福感を得ることができます。
前述の研究にもある通り、特に冬場は効果が得られるでしょう。
ドイツの研究では、「入浴することで、慢性疲労や、うつ病の改善になる」と報告されています。[6]
この研究によると、週2回、1ヶ月程度で効果が現れました。
朝に日光を浴びる
日光を浴びることで、体内にビタミンDが生成されます。
このビタミンDは、精神的に良い影響を与えることが見つかりました。
この研究論文は、冬季うつ病とビタミンDの関係を調査した内容です。
- 2014年のMedical Hypothesesに掲載されています。[2]
日光を浴びるのは、なるべく朝にしましょう。
朝の時間端、太陽光(強いブルーライト)の下にいることで、体内時計が調整されます。
サプリでビタミンDを摂取することについては、議論の余地があります。
体内時計の調整もあるので、朝に日光を浴びるのが一番です。
一般的に日照時間は、冬季うつ病に関連すると知られています。
しかし近年、それを否定する研究報告もあるため、議論されています。[3]
背筋を伸ばして座る
2016年、ニュージーランドからの研究を紹介します。[7]
背筋を伸ばして座るだけで、気分が良くなります。
この研究では、疲労感も改善されました。
姿勢を正すことで、少なくとも短期的には、効果が得られます。
これは長く座っている時など、ちょっとした気分転換にもなります。
15分のウォーキング
ウォーキングは健康に良いだけでなく、脳の認知機能や、精神的な気分に良い影響を与えます。[8]
前述のように、「幸福感を得る」という意味では、少しでも自然のある「外の運動」が効果的です。
それでも外出が難しい場合は、室内で有酸素運動をしましょう。
やはり日光が当たる「窓際での運動」がオススメです。
15分の有酸素運動は、脳内の「気分の良さ」に関わる化学物質を増やします。
さらに別の研究では、週3回、昼休みにウォーキングをするだけで、ストレスが軽減され、リラックス効果が得られました。[9]
できるだけ日光を浴びるようにしましょう。
旅行をする
旅行は、精神的なストレスを解消することができます。
写真を撮ったり、自然に触れることで、幸福感を得られます。
それは一人旅でも、様々な効果が得られます。
旅行が難しい場合、近くの公園などに行きましょう。
自然に触れることが大切です。
2016年の研究によると、海の見える場所は、精神を癒やす効果があると分かりました。
- 「Health and Place(公衆衛生学の雑誌)」に掲載された研究[10]
確かに海を眺めるだけで、言葉にはできない幸せを感じます。
モノではなく体験を購入する
「お金で幸せは買えない」とは言いますが、科学によると、幸福は買うことができます。
ただし、購入するのは、モノではなく体験です。
サンフランシスコ州立大学の研究を紹介します。
- この論文は2014年のThe Journal of Positive Psychologyに掲載されています。[11]
モノではなく、体験によって幸福が得られるというのは、多くの研究報告にあります。
経験(思い出)は、劣化による悲しさがなく、いつまでも脳に残ります。
体験にお金を払うことは、自分以外の人間と、コミュニケーションが増えることにもなります。
これも、体験によって幸福感が得られる理由です。
経験が得られるモノを買う
それでも「所有する満足感」を得たい場合、別の手段があります。
それは「経験が得られるモノ」を買うことです。
「経験を得るためのモノ」は、ファッションや家電製品よりも、幸福感が得られます。
- この調査報告は2014年のJournal of Consumer Psychologyに掲載されています。[12]
例えば「カメラ」「自転車」「楽器」などがあります。
これらは、人生に新しい経験をもたらします。
さらに「本」も、生活の経験が得られるため、幸福を感じることができます。
時間を買う
時間を買うことで、幸福を得ることができます。
これは約4,500人という大規模な調査による報告です。
- 2016年、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)に掲載されています。[13]
例えば、家事代行サービスが当てはまります。
「自分の時間を増やすサービス」にお金を使った人は、モノを買うよりも、幸福感が得られました。
親切な人になる
他人に優しくする人は、人生の充実感と相関します。[14]
「親切な行為」や「ボランティア」をすることで、幸福感が得られます。
昔から、他人に親切な行為をすれば、「巡り巡って自分に返ってくる」と言われていました。
実際は、自分に返ってくるまでに、時間は掛かりません。
親切にするだけで、「直接的に」幸福を得られることになります。
創作活動をする
創作活動に取り組むことで、日々の充実感を得ることができます。
ニュージーランドの研究者らは、創作活動に取り組んだ翌日は、幸福感が得やすいことを発見しました。
- この論文は2016年のThe Journal of Positive Psychologyに掲載されています。[15]
絵画、作曲、工作、小説を書いたり、創作活動であればジャンルは問いません。
もし月曜日が憂鬱であれば、創造をしてみる価値があります。
誰もが「時間を忘れるほどの没頭」を経験したことがあると思います。
フロー状態やゾーンと呼ばれる圧倒的な集中領域です。
以下の記事では、フロー状態を作って、「モチベーションをアップさせる方法」を紹介しています。
フロー心理学は「喜びの現象」と言われています。
目的は「幸せの追求」です。
(ただし、本当に幸福になるかは、議論もあります)
感謝をする(感謝で幸福になる理由)
人間に限らず、動物は嫉妬をする生き物です。
相手をうらやましく思うことは、「自分にもできたかもしれない」という思考です。
強い後悔を生み、幸福感が薄れます。
「感謝」をする人は、「嫉妬」とは逆に、今の状態を理解しようとします。
「今の状態」と「自分ができたかもしれない」というギャップは、憂鬱な気分になる要因です。[17]
これを回避するには、「小さなことにも、ありがたみを感じる」という思考が大切です。
「誰かのようになりたい」という思考が強すぎると、自分の周りにいる人に意識が向きません。
結果、感謝することが少なくなります。
「自分は自分で良い」という自尊心を持つことが、幸福感を得ることに繋がります。
幸福の追求には落とし穴があります(最後に)
他の人たちは、自分よりも幸せでしょうか?
私たちは、多くのメディアに触れています。
SNS(ソーシャルメディア)では、多くの人が「最高の瞬間」を投稿しています。
テレビメディアも、良い映像が撮れなければ放送されません。
多くの調査で判明したのは「他の人たちは、自分よりも豊かである」と思い込んでいることです。[16]
他人の生活について考えたとき、充実しているイメージが浮かぶからです。
実際は違っていても、他人は幸福に見えてしまいます。
悪い気分が人間に必要な理由
あまりに幸福度が高いと、人間はリスクを冒します。
過剰な幸福感は、「悪い結果を想像することができない」からです。
これは、痛みを感じない状態に似ています。
(痛みを感じにくい体質の人がいます)
痛みを感じなければ、それを避ける思考ができません。
そのため、病気などの身体変化に気づかないだけでなく、リスクのある行動をとる傾向にあります。
幸福感が過剰であれば、間違った選択をする可能性が高くなります。
幸福を求めすぎない
この記事に書いてあることは、簡単に幸福感を得る方法です。
これらを実行しても、デメリットはありません。
しかし、幸福を求めすぎると、幸福を得られなくなります。
これは幸福の目標が高くなり、「自分の立ち位置」とのギャップに苦しめられるからです。
銀メダルの選手よりも、銅メダルの選手の方が「幸福である」という有名な研究があります。[18]
恵まれた「勝者」が近いと、幸福感よりも後悔が増すからです。
高齢者は、若者よりも幸福感が増します。
この理由のひとつは、実現できる目標が少ないからです。
目標は、達成できれば幸福になり、達成できなければ苦しめられます。
ですから苦しみや悩みと、上手く付き合う必要があります。
人間の精神は、良好な時ほど、絶妙なバランスに立っています。
このバランスが崩れると、精神の病(やまい)に掛かります。
あまりに幸福であることは、問題となることがあります。
そう踏まえて生きていけば、気持ちが少し軽くなるでしょう。
補足
「笑顔を作れば幸福を感じる」という話を聞いたことがないでしょうか?
1980年代の「非常に有名な」研究調査です。
しかし2010年代になって、これを否定する研究報告が増えています。
つまり、議論の余地があります。
さらに「楽しくないのに、笑顔を作る」ということには、悪い影響も懸念されています。
幸福を得るために無理をするのは、本末転倒です。
したがって、この記事には入れませんでした。
参考文献
この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。
- Allocation of speech in conversation
- Possible contributions of skin pigmentation and vitamin D in a polyfactorial model of seasonal affective disorder
- Major Depression With Seasonal Variation
- Cold-blooded loneliness: social exclusion leads to lower skin temperatures.
- Experiencing Physical Warmth Promotes Interpersonal Warmth
- Effects of hyperthermic baths on depression, sleep and heart rate variability in patients with depressive disorder: a randomized clinical pilot trial
- Upright posture improves affect and fatigue in people with depressive symptoms
- How Exercise Revs Up Your Brain U.S. News & World Report
- Changes in work affect in response to lunchtime walking in previously physically inactive employees: A randomized trial.
- Residential exposure to visible blue space (but not green space) associated with lower psychological distress in a capital city.
- The hidden cost of value-seeking: People do not accurately forecast the economic benefits of experiential purchases
- To have in order to do: Exploring the effects of consuming experiential
products on well-being - Buying time promotes happiness
- Experts on Demand: Sonja Lyubomirsky
- Everyday creative activity as a path to flourishing
- Home alone: Why people believe others’ social lives are richer than their own.
Export EXPORT Add To My List Email Print Share - Decision-Making Dysfunctions of Counterfactuals in Depression: Who Might I have Been?
- When less is more: counterfactual thinking and satisfaction among Olympic medalists.