第一印象を良くする方法と、好印象の心理ルール

笑顔の子ども

第一印象は、私たちが想像する以上に強力です。
人間には優れた「顔認識能力」があり、一瞬で性格を判断するからです。
おそらく進化の過程で、敵や味方を判断するのに必要だったのでしょう。

しかし、強力だからこそ間違った判断が起きます。

私が外部委託を予定しているフリーランスさんと、面談したときのことです。
彼はプログラミングの知識が豊富でした。私は30分程度の会話で、非常に信頼できると判断し、契約を交わしました。

しかし、自社の営業担当者は、反応が違いました。
「彼は大丈夫なのか?」
言われてみれば、彼は外見がルーズに見えます。
しかし、素晴らしい技術力を持っています。取引は成立しました。

私が経験しように、第一印象は、信頼に関わります。
営業の方は、(過去の経験から)外見がルーズな人を警戒していました。
しかし実際は、ルーズなところもなく、頼りになる人でした。

第一印象には、法則があります。
この記事では、第一印象の心理ルールと、良い印象を与える方法を紹介します。
また、悪い印象を与える行為についても説明します。

第一印象の心理ルール

印象を判断している女性

第一印象の心理的作用は、非常に強力です。
人間は、わずか0.1秒で、相手の顔から性格を判断します。[参考文献※1]

ここでは、様々な研究によって確認されている「第一印象の心理ルール」を説明します。

ハロー効果

ハロー効果は、有名な認知バイアスです。
「人は見た目に左右される」という、私たちにとっては、認めたくない心理効果です。
それだけに、強力です。

バイアスについては、以下の記事をご参考ください。

【バイアス】あなたが知るべき13の認知バイアス(人生に役立つものだけ)

【バイアス】あなたが知るべき13の認知バイアス(人生に役立つものだけ)

もし、駅までの道をたずねるなら、髭の生えた強面(こわもて)の男性を避けるでしょう。

ハロー効果が強力なのは、第一印象から得られる情報が少ないからです。
相手の中身が分からないだけに、外見から内面を作り上げ、それが正しいと信じ込んでしまいます。

第一印象は強力

第一印象は、私たちが思う以上に強力です。
(2016年の研究によると)写真であっても、その人の能力や性格を決めて付けてしまうのですから、第一印象の評価を変えるのは困難です。[参考文献※2]

この研究の参加者は、「笑顔」と「他の表情」の写真を見せられます。
一ヶ月後、実際の人物と面談をします。
面談後、一ヶ月経過しているにも関わらず、笑顔の写真だった人は「優しい」と評価されました。

さらに、ハロー効果を評価者に説明したにも関わらず、印象は操作されました。

私たちは、ハロー効果を知っていても、印象が左右されます。
事前にチェックした写真は、面談前に「前情報」として、記憶に組み込まれたのでしょう。

また、事実を伝えたとしても、「外見の第一印象が勝る」という研究も報告されています。

しかし第一印象が全てではない

第一印象が「永遠に続くか」については、疑問があります。
職場や学校生活など、頻繁に会う人は、第一印象のイメージは上書きされます。

しかし、否定的な第一印象を挽回するチャンスは、多くないかもしれません。
したがって、長期的な関係であっても、第一印象は重要です。

第一印象には個人差がある

(2017年の研究報告によると)第一印象には、個人差があります。[参考文献※3]
あなたが社交的でない場合、(あなたと同じ)社交的でない人に、好印象を与えやすくなります。
内向的な人は、社交的な人が相手だと、疲れてしまいます。

内向的、外向的な人の第一印象

自分の性格と似た人には、好印象を受けやすくなります。
性格が合わない人にも好かれるのは、難しいことです。

類は友を呼ぶ

上記の研究は、まるで「類は友を呼ぶ」という、ことわざの通りです。
一方で私たちは、「自分にない魅力を持つ人に惹かれる」とも言います。

どちらが正しいのでしょうか?
いろいろな仮説はありますが、カップルにおいては「似たもの同士」が結ばれやすいという研究報告があります。[参考文献※4]

やはり、自分に似ている相手ほど、好印象を抱きやすいのでしょう。

真似は共感を生む

古くから、「人の真似をすると好感度が上がる」という心理テクニックがあります。
これには、科学的な根拠もあります。[参考文献※13]

例えば、相手がコーヒーを飲んだとき、自分もさりげなくコーヒーカップに手を伸ばします。
こういった動作を真似ることで、無意識に共感を得ることができます。

非言語的コミュニケーション

言語のない動物では、動作や行動がコミュニケーション手段のひとつです。
同じく人間にも、言語以外でコミュニケーションをする能力があります。

それらを「非言語的コミュニケーション」といいます。
非言語的コミュニケーションは、ほとんどの場合、男性よりも女性が優れています。
女性の方が、落ち込んでいる表情や、ちょっとした動作など、言語以外から感情を読み取るのが得意です。

信頼を得るには?

信頼を得るには、やはり会話が重要です。
前項の非言語的コミュニケーションは、「信頼の重要な要素ではない」という研究報告もあります。[参考文献※9]
情報交換の量に左右されると、研究者らは言います。

汗に注意する

ストレスによる汗のニオイが、信頼性を低くするというユニークな研究報告があります。[参考文献※19]
もし、あまりにも緊張する場面で汗をかくなら、消臭スプレーを試す価値があります。

声だけで性格を判断される

飛行機のフライト前、機長のアナウンスによって、乗客は安心を得ます。
第一印象には、声も含まれます。

そして声だけでも、性格を判断されてしまいます。[参考文献※5]

少し高めの声と、少し大きめの声は、より信頼感を生みます。

ただし、高い声の女性は、「人をこき使う」という印象を与えます。
逆に男性だと、低い声が「人を使う性格」という印象を与えます。

幸せな気分の時は見た目を重視する

しあわせな気分になっているとき、人間は見た目に惑わされます。
気分が良いときは、「相手を慎重に判断する」というモチベーションが減るからです。

ビジネスでは、過剰にもてなすと、逆効果になる恐れがあります。
中身より、見た目で判断される可能性があるからです。

目を見ることについて

こちらを見ている女性

「相手の目を見る」という行為は、シーンによって効果が違います。

相手の目を見ると、通常は好意的なサインとなります。[※]

  • セントルイス、ウェブスター大学の心理学者モニカ・ムーア博士の報告による[参考文献※6]

しかし、討論のように「意見が違う場」では、敵対のサインとなります。[※]

  • ハーバード大学のジュリア博士らの報告による[参考文献※7]

これは相手が親であっても、「反抗の目」という形で、敵対のサインを作ります。
討論に限らず、「意見が違う場合」に起こります。

携帯電話を見ると最悪になる

携帯電話を見ることは、いかなる場であっても、悪い印象を与えます。
コミュニケーションの放棄を意味します。

女性のメイクについて

女性はメイクが濃いと、魅力的な印象が少なくなります。
しかし、スッピンだと、信頼性に欠けてしまいます。
これは、2011年プロスワン(科学雑誌)に掲載された調査結果です。[参考文献※12]

また、スッピンとメイクをした女性を比べると、メイクをした方が「能力がありそう」という印象を与えます。

面接などでは、ある程度のメイクが有利になるでしょう。

笑顔が好まれる

私たちが思うように、やはり笑顔は、友好的なサインです。
人間の記憶と視覚は、笑顔を好みます。[参考文献※16]
他人を助け、役に立とうとする行為が、人間にとって大切ということを意味します。

男性は幼い顔の女性を好む

著名な心理学者の研究によると、男性は「幼い顔の女性」をパートナーに選びやすい傾向があります。[参考文献※17]
さらに「幼い顔」の人は、親切にされる傾向があります。
しかし「能力が高いと思われにくい」というデメリットもあります。

また、過去の記憶に「似ている人物」がいれば、性格も似ているだろうと判断します。

好印象を与える方法

好印象を与える方法には、いくつかのパターンがあります。
ただし、相手やシーンによって異なります。

また、どんな外見に魅力を感じるかは、男女間でも異なります。
それらをシーンごとに説明します。

女性は男性の笑顔が一番ではない

私たちが想像するように、男性は「笑顔の女性」を第一印象で好みます。
しかし、女性側は異なります。

女性は「笑顔の男性」よりも、「自信を持つ男性」を魅力的だと認識します。
これらは、コロンビア大学ジェシカ教授らの研究報告で判明しました。[参考文献※8]

不思議なことに「どんな男性を好みますか」という質問には、「笑顔の男性」が魅力的だと答えています。
しかし実際は、笑顔よりも「勝ち誇った表情の男性」が選ばれました。

「笑顔のプロフィール写真」を載せている男性は、それがベストではないかもしれません。
ただし、この研究は、西洋文化に偏っている可能性もあります。

反応の良さが魅力になる

会話において「反応の良さ」は、非常に魅力的です。[参考文献※10]
「無反応」であってはいけません。

都度、反応を返してあげるのが「良い印象」を与えるコツです。

頻繁にうなずく人は好印象

最近の研究によって、頻繁にうなずく人は、好印象を与えることが分かっています。[参考文献※11]
前項の「反応の良さ」と同じです。

メガネは知的に見える

メガネは知的な印象を与えます。[参考文献※14]
特にフレームが厚いと、より知的に見えます。

また、この研究調査では、相手の目を見ることが、知的なイメージを与えるとのことです。

ブランドの服は地位が高く見える

ブランドの服を身につけると、地位が高く、裕福に見えます。[参考文献※15]
もちろん相手も、そのブランドを知っている必要があります。

この研究調査では、信頼性や優しさ、魅力などには、影響がないとのことです。
高いブランドの服を身につけても、信頼性が得られることはないでしょう。

温かいほど親しみを感じる

私たちは「温かい人」という表現を使います。
他の国であっても、「温かい」「冷たい」は、人の性格に結びついています。
(例:warm personality=温かい人柄)

ホットコーヒーを渡すだけで、親近感を感じるというユニークな研究報告があります。[参考文献※21]
この実験では、ホットコーヒーの温もりが、初対面の人を「優しい」「親近感がある」と評価することに繋がりました。

また、別の研究では、「手の温もりが幸福感を得る」という報告もあります。(手には神経が集中しています)

これらの研究からすると、「握手」というのは合理的です。
取ってのない「湯のみ」も、印象を変えるかもしれません。

部屋の温度も、暖かくすると良いでしょう。

仕事の場合

仕事においては、まず身なりです。
場所にあった服装をします。

ビジネスでのポイントは、イメージとかけ離れないことです。
エンジニアは、スーツである必要はありません。
しかしエンジニアであっても、パーティーの場ならスーツが必要です。
「職種」「場所」のイメージから、離れないようにします。

また、冒頭の事例にもありますが、営業職から見れば、営業に近い「身なり」や「行動」が、好印象を与えます。

聴衆に合わせる

講演などの場では、聴衆にあったイメージに近づけます。
聴衆が銀行員であれば、堅いイメージを作る必要があります。

さらに講演であれば、ノートを見すぎないようにします。

話をよく聞く

営業職の方で「話をあまりに先取りする」という人がいます。
私が詳細を話す前から、先に中身を話そうとします。
どうしても、「話を聞かない人」という印象を受けます。

自信を見せる

ビジネスの場では、自信のない言動は、イメージを下げます。
といっても、これは大きな要因ではありません。

悪い印象を与えてしまう行為

写真で人を選ぶ女性

前述までは、「良い印象」を作るルールを紹介しました。
ここでは、相手に「悪い印象」を与える行為を紹介します。

前述のように、マイナスイメージの払拭は、困難になります。
なるべく第一印象で、悪いイメージを作らないようにしたいところです。

もしマイナスイメージ消すには、長期的な関係によって、相手の役に立つことです。
相手の記憶を上書きすることで、マイナスイメージを払拭します。

先に否定して褒める

「(あなたには)できないと思ったけど、素晴らしい成果です!」
このように否定をしながら褒めると、相手に不快感を与えます。

言った本人は、相手を褒めていると勘違いをしています。
(自分の正直さをアピールしたいのでしょう)

私の周りにも、多く聞きます。
つまり、ほとんどの人は、不快感を与えていることに気づいていません。
「できるとは思っていなかった」「最初はダメだと思っていたけど」なんて言うべきではありません。

「え? そんなふうに思っていたの? ヒドイ」と、裏切られた気分になります。

自分について話さない

相手の話を聞いてあげることは、コミュニケーションにおいて重要です。
しかし「自分について話さず」相手を知ろうとすると、悪い印象を与えます。[参考文献※18]

内向的な人は、自分の話をするのが苦手です。
あまりにも自己を隠すと、打ち解けるのが難しくなります。

最初から自分の秘密を話す

初対面で秘密を話すと、拒否反応を起こされます。[参考文献※18]
例えば親族のネガティブな情報や、自らの不倫関係などを話す行為です。

秘密を話すことは、親しい仲でのみ、関係が強化されます。

隠れた自慢

「○○のインナー(大衆ブランド)を買ってみたけど、品質が悪くて一度しか着ていない」
事実であっても、隠れた自慢は、悪い印象を与えます。

謙虚に含まれる自慢も同じです。
「今日は髪の毛がボサボサで、街を歩きたくない」という言葉をSNSでつぶやき、新作のブランド品を身につけた自撮りを見せるような行為もです。

最後に

注意すべきは、あなたを騙そうとする詐欺師が、これらを熟知しているということです。

「会ってみれば分かる」というのは、第一印象に騙される可能性もあります。

人間は「外見」や「言葉」から、相手の性格を判断しようとします。
その情報は「意識できない領域」に入り、気づかないうちに相手を評価します。

やはり、第一印象は重要です。
しっかりと計画を立てれば、相手に間違ったイメージを与えないようにできます。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. Making Up Your Mind After a 100-Ms Exposure to a Face
  2. Impressions Based on a Portrait Predict, 1-Month Later, Impressions Following a Live Interaction
  3. Knowing versus liking: Separating normative knowledge from social desirability in first impressions of personality.
  4. Cognitive processes underlying human mate choice: The relationship between self-perception and mate preference in Western society
  5. The Secret to Making a Good First Impression
  6. Monica Moore | Webster University
  7. In the Eye of the Beholder
  8. Smiling men less attractive to women: study
  9. Developing Latent Semantic Similarity in Initial, Unstructured Interactions
  10. When does responsiveness pique sexual interest? Attachment and sexual desire in initial acquaintanceships.
  11. 頷きと首振りが顔の主観的印象に及ぼす影響
  12. Cosmetics as a Feature of the Extended Human Phenotype: Modulation of the Perception of Biologically Important Facial Signals
  13. Capuchin monkeys display affiliation towards humans who imitate them
  14. Appearing smart: the impression management of intelligence, person perception accuracy, and behavior in social interaction.
  15. Social benefits of luxury brands as costly signals of wealth and status
  16. The Vividness of the Happy Face
  17. First Impressions From Faces.
  18. Self-disclosure and liking: a meta-analytic review.
  19. Chemosignals of Stress Influence Social Judgments
  20. New paper provides evidence-backed insights on how not to come across as a jerk
  21. Experiencing Physical Warmth Promotes Interpersonal Warmth
  22. First impressions count
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