嫌なことを忘れる良い方法【科学的な手法】

よかったらこの記事をシェアください

カフェで音楽を聴く女性

仕事でミスをして、上司や客からひどく怒られた。

あなたは、自分が悪くない理由を心の奥で探します。

私もです。
しかし、それは逆効果かもしれません。
葛藤をすることで、記憶が固定される可能性があります。

私は仕事のミスで怒られた(もしくはミスでもないのに怒られた)とき、忘れることが一番だとアドバイスします。
マネージャーとなった今でも、そのように言います。

「気にしなければいい」「視点を変えればいい」「仕事に集中すればいい」と、アドバイスされるかもしれません。
それができれば、苦労はしません。

そもそも仕事に集中できません。

嫌なことを忘れる良い方法があります。

この記事では、嫌なことを忘れる方法と、忘れた方が良い理由について説明します。
ただし、これは日常生活で起きるようなレベルの話です。
PTSDの可能性がある方は、専門家へ相談してください。

お酒(アルコール)は逆効果を追加・訂正しました。2017/08/17

悪い記憶を忘れようとする

悩む女性

悪い記憶が頭に浮かんだら、打ち消してください

嫌な記憶を忘れる方法があります。
それは簡単すぎて、意外な方法でした。

嫌な記憶を積極的に忘れようと、意識するだけです。

2007年、コロラド大学ブレンダン博士らの研究報告です。[参考文献※1]
この研究内容は、権威のあるネイチャー、サイエンスにも掲載されました。

被験者は、積極的に忘れようとすることで、記憶に関する感情と、記憶自体を抑制させることができました。(この研究では、fMRIで脳をスキャンしています。)

また、嫌悪感のような感覚も、忘れようとするだけで記憶をブロックできました。

研究者らは、トラウマのような強い記憶では、多くのトレーニングが必要だと言います。

記憶の4ステップ

記憶には4つのステップがあります。

情報の獲得→記憶の固定化→記憶の再生→記憶の再固定化

最後の「記憶の再固定化」とは「思い出す」ことです。

この「思い出す」行為は、「覚え直す」ことです。

違う内容を覚え直せば、記憶を書き換えるとも言えます。

人間は思い出した段階で、何度も記憶を固定させます。
「悪い記憶を忘れようとする」ことは、記憶の再固定化を邪魔する手法だと思います。

自問自答と後悔を打ち消す

誰もが自分は悪くないと、自問自答を繰り返します。
自分が悪くない理由を探します。

さらに「あのとき私はどうして……」と後悔します。
これらは状況を悪化させます。

後悔しても状況は変わりませんし、嫌な記憶が固定され、憂鬱な気分になるだけです。

仕事のミスならば、何かしらの対応は強制されるものです。
それだけで十分です。

ミスをしたら「憂鬱な気分にならないといけない」なんてことはないのです。

頭の中で葛藤が始まったら「思い出してはいけない」と、意識することです。
忘れることに集中しましょう。

思い出さないようにする

前述のように、思い出してしまったら「(打ち消すように)忘れようとする」ことが大切です。

その前に思い出さなければ、記憶の固定化を防ぐことになります。
嫌なことがあった日は、テレビを見たり、ゲームでもして「思い出すこと」を邪魔した方が良いです。

この方法しかない?

前述の通り、嫌なことを積極的に忘れることで、記憶自体を抑制できます。
実はこの方法以外で、信頼のおける研究データは見つかりません。

PTSDのような、強いトラウマに関しては、今も研究が進められています。[※]

  1. ※プロプラノロールの投与で、記憶の辛さが軽減されるといった報告などがあります。

近い将来、何かしらの薬や、治療方法が実現できそうです。

本記事で取り上げるような「日常生活の嫌な記憶を忘れる」方法からは、除外しています。

同僚はすでに実践していた

この「嫌なことを忘れる方法」は、すでに私の同僚が実践していました。
その同僚は「忘却術」と呼んでいました。

今思えば、科学的根拠があったというのは驚きです。

その日の睡眠前に忘れようとする

寝室のライト

寝る前には、考えたり、振り返ったりしないでください

睡眠は、記憶を固定させます。[参考文献※2]
これは数多くの研究報告があり、間違いありません。

そして悪い記憶までも、睡眠によって固定化します。[参考文献※3]
フライブルク大学(ドイツ)、ニッセン教授らの研究報告です。

嫌なことを積極的に忘れようとすることが、睡眠前でより効果があると判明しました。
逆に言えば「睡眠後は、嫌な記憶を忘れにくくなる」ということです。

さらに(おすすめできませんが)睡眠不足は、悪い思い出を邪魔します。

寝る前に忘れよう!

寝る前に嫌なことを思い出すのは、悪いことしかありません。
睡眠前の学習は、効果が高いのと同じです。

ここまでの「嫌なことを忘れる方法」をまとめると、以下のようになります。

  • 嫌な記憶を積極的に忘れようと意識する
  • 嫌なことは、その日の睡眠前に忘れる
  • 特に就寝前は、嫌な記憶を思い出さないようにする

昼寝にも、高い学習効果があります。
朝に嫌なことがあれば、その日の昼寝は避けた方が良いでしょう。

私のオススメは、寝る前にバラエティー番組を見て、気分を変えることです。
好きなドラマでも、映画でも構いません。

そしてゲームでも、同じく作用します。
交通事故で被害にあった人に、事故後から6時間以内にテトリスをプレイすることで、事故の記憶が和らぐという研究報告があります。[参考文献※5]
テトリスをプレイすることで、事故の視覚的な記憶がぼやけるようです。

思い出の引き金を排除する

これは実行するのが難しいかもしれません。
記憶は五感によって、思い出すことができます。

視覚、音、ニオイ、味、感覚などは、記憶を想起させるものです。

場所も含まれます。
嫌な思い出のある場所に行くと、やはり記憶がよみがえります。
被害者が事件現場に行って、状況を思い出すのと同じです。

できれば、記憶を想起させるものから、離れましょう。
しかし実際は難しいかもしれません。

慣れてしまうことについて

人間は、ストレスや痛みに慣れるようにできています。

いきなり会社の重役になれば、プレッシャーで潰されてしまいます。
まずは先輩となり、チームのリーダーとなってから出世することで、プレッシャーに慣れていきます。

そして悪い記憶も「慣れ」によって、和らげることができます。

これはオススメできません。

ストレスに慣れること自体が、ストレスになるからです。
悪い環境なのに慣れてしまって、判断ができないこともあります。
痛みに慣れると、病気の発見においてリスクにもなります。

自分に報酬を与える

チョコレート

報酬はお金だけではありません

脳は、悪い記憶から、良い記憶に書き換えることができます。
報酬を使う方法です。

ATR、カリフォルニア州立大学、ケンブリッジ大学の研究者らは、恐怖記憶を消す技術を開発しました。[参考文献※4]

本人に気づかないよう、恐怖記憶の引き金に合わせて、報酬を与えることで、恐怖記憶を打ち消すという研究報告です。

マウスの実験でも、類似の研究報告が多くあります。
やはり報酬は、怖い記憶を消すようです。

脳にとって、報酬とは何でしょうか?

金銭を受け取る、美味しい食べ物、褒められる、笑顔などは、脳に報酬を与えます。[1]

  1. いわゆる脳の報酬系回路です。

嬉しいという感情は、脳に報酬を与えます。
自分へのご褒美は、やる気を継続する方法のひとつです。

お酒(アルコール)は逆効果

お酒と女性

お酒は報酬回路を刺激しますが、悪い記憶には逆効果となる可能性があります。

アルコールを摂取することでも、脳の報酬回路が反応します。
ただしアルコールは、死亡率を高める要因のひとつです。
(健康診断でも、お酒とタバコは真っ先に聞かれますよね)

以前はアルコールを摂取すると、恐怖の記憶を和らげる[1]と言われていました。

  1. アルコールによって、扁桃体や帯状皮質の反応が鈍化するため。

近年の研究では逆です。[参考文献※6]

アルコールは嫌な記憶を強めてしまいます。

「参考文献※6」は米国の研究報告ですが、東大でも同じ研究がされています。
やはり恐怖・嫌な記憶は、アルコールによって強まるようです。

アルコールと記憶について

アルコールは、記憶を邪魔します。

これは、忘れたいことがあるとき、ちょっとした問題が起こることも考えられます。

お酒を飲むと、新しい記憶が邪魔されるのです。
飲む前の記憶が、逆に強化される可能性があります。

つまり、お酒を飲むと、記憶する総量が減ることになります。(飲酒中の記憶が弱くなるため)
その分だけ、飲酒前の記憶が、強く固定されるということです。

脳のシステムは、複雑です。
お酒は報酬を与えますが、飲酒前の記憶は残りやすい可能性があります。

お酒はメリット、デメリットがあるため、無理に実行してはいけません。
健康に悪いのも、間違いありません。
学習効果を期待して、飲むことは辞めましょう。
お酒を飲むより、寝る前に勉強した方が、学習効果は高いです。

ノートに書くという話について

ノートに書く女性

嫌な記憶を忘れるために、ノートに書き出すというテクニックがあります。
これは淡々と事実だけを書いて、感情面を排除する方法です。

書くことは、記憶方法のひとつです。
身体的な動作は、記憶を固定するのに有利です。
感情を排除して、事実をノートに書くことで、悪い経験をぼやかす方法です。
さらに相手の怒っている理由を、客観的に知ることができると言います。

この方法は、たしか「自分の怒りを抑える心理学」だったと記憶しています。
嫌なことを忘れる方法とは、少し異なったものです。
裏付ける論文も見当たりません。

これは「記憶を書き換えるテクニック」に近いものです。
しかし、自分で記憶を書き換えるのは困難です。

私は昔、この方法を試したことがありますが、あまり効果は感じませんでした。
自分と相手の立場は違うものです。
相手の立場になるというのは、難しいものです。

私は怒りを抑えることすら、この方法ではできませんでした。

まとめ&ストレスについて

嫌なことを忘れる方法のインフォグラフィックス

この画像は転載できます。下のクレジットは消さないでください。

動物は、危険な場所に近寄らないように、恐怖の記憶を優先して残します。
人間も同じで、悪い記憶ほど強く、そして正確に残ります。

生命に関わるわけではないので、嫌なことは忘れるべきです。
できるだけ、その日のうちに忘れようとしてください。

こういうことを会社で言えば、ミスが再発するとか、反省させろ、などと言う人がいます。
そういうストレス環境こそが、悪いストレス耐性を生み、次第にエスカレートさせるのです。
そういった環境では、アイデアが生まれません。

さらに悪いことがあります。

相手が感情的になっているとき、相手の情報だけが、正確な記憶として残ります。
これはミスを起こしたときの状況が、あいまいな記憶になることを意味します。
そう考えると、怒る側に問題があるとも言えます。

感情的になっている相手からは、逃れたい気持ちになります。
逃れるため、相手に集中し、相手の情報だけが、記憶に残ってしまうのです。
最も自分を脅かすものを優先して、記憶するのでしょう。

嫌な記憶は、あなたのワーキングメモリを邪魔します。
仕事にも集中できなくなり、作業効率を悪くしてしまいます。

嫌なことは「早く忘れる」に限ります。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. Bad memories can be supressed
  2. Labile or stable: opposing consequences for memory when reactivated during waking and sleep
  3. Sleep deprivation facilitates extinction of implicit fear generalization and physiological response to fear.
  4. つらい経験を思いだすことなく、無意識のうちに恐怖記憶を消去できるニューロフィードバック技術を開発
  5. Can playing Tetris help prevent PTSD?
  6. Hippocampal encoding of interoceptive context during fear conditioning

よかったらこの記事をシェアください

(この記事を紹介してくださる方に感謝します)

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)
     
スポンサーリンク
レクタングル(大)