自分のことばかりを話す人がいます。
どの国でも見られる傾向で、自分自身にも注意が必要です。
実際に、以下のようなことが起こりました。
以前、職場でAさんが、残業になると言っていました。
そこに、仕事の終わったBさんが話しかけます。
Bさんは、自分の話を延々と続けます。
(そのときは、上司がBさんに自制を促しました)
もし職場でなかったら、ますます終わらない話を聞かされたでしょう。
そこで他人が「自分の話ばかりする」のを、辞めさせる方法について紹介します。
また「自分の話ばかりをしてしまう人の心理」についても、説明します。
そこには「自分を語る男性の特徴」もあります。
科学的な方法
コミュニケーションは、キャッチボールです。
最も良いコミュニケーションは、「聴く割合」と「話す割合」が、半分ずつになることです。
しかし、そうと分かっている人でさえ、自分のことばかりを話すときがあります。
現在の科学では「自分の話ばかりする人の心理」は、少しずつ分かってきました。
問題は「辞めさせる方法」です。
心理学の文献を探すと、意見は統一されていません。
しかし2017年になって、ある研究報告がでてきました。
それは「自分の話ばかりするのを辞めさせる方法」として、大きな影響がありました。
この研究をもとに、多くの識者が、新しい見解を出しています。
人は静かになると話をやめる
これは、2017年に発表された「会話」に関する新しい研究報告です。[参考文献※1]
研究のテーマは、「自分の見解を話す割合」です。
私たちは、非言語的コミュニケーションを使って、「相手の長い話を辞めさせよう」と考えるかもしれません。
非言語的コミュニケーションとは、言葉以外のコミュニケーション方法です。
例えば目をそらしたり、手足を動かして、興味がないとアピールすることです。
しかし、非言語的コミュニケーションでは、話の長さを操作できません。
周りが静かになると話が終わる
この研究には、唯一、話を辞めさせる方法が書かれています。
それは、周囲が静かになったときです。
相手が黙ってしまったとき、話を止める傾向にありました。
相手が静かなときは、進んで話をするのが嫌になります。
これは登壇した経験があれば、感覚的にも分かるかと思います。
講演に慣れた人は、最初に「観客の心をつかむためのトーク」を用意しています。
会話すると話が長くなる
この実験では、ひとりで語る人に対し、会話で反応すれば、どうなるかを示しています。
結果、会話をすると、ますます話が長くなります。
つまり会話で反応するのは、逆効果です。
営業される側の場合
「顧客と長く話をする」というのは、ひとつの(古い)営業テクニックです。
(このテクニックを使われると、私はゲンナリします)
私は最初、営業の男性と会話をしました。
しかし、それは長くなりそうでした。
私は会話を辞め、「はい」という返事や、「へー」といった相づちで返すようにしました。
これらは、相手を肯定するフィードバックです。
相手には、不快感を与えません。
徐々に、相づちを辞め、うなずくだけの反応に切り替えました。
肯定のフィードバックを送りつつも、黙りました。
そして「長く続きそうな話」から、抜け出すことができました。
相手に不快感を与えないように、さじ加減が必要ですが、効果があると感じます。
もちろんビジネスなので、「忙しい」という「大義名分」を伝えた方が、お互いにとって良いでしょう。
他の手段
「自分の話ばかりするのを、辞めさせる方法」について、他の手段も紹介します。
前項の研究論文が出る前は、あまり見解が統一されていませんでした。
ここでは、心理カウンセラーが書いた文献などを参考にして、その他の手法を紹介します。
非言語的コミュニケーション
非言語的コミュニケーションを使って、意志を表示する方法があります。
前項の実験では、影響しませんでした。
しかし、話を中断させる方法として、非言語的コミュニケーションが有効だと主張する科学者もいます。
非言語的コミュニケーションには、以下の方法があります。
- 口を開けて、なにか物を言おうとする。
- 手を相手に向ける(ちょっと待ってのジェスチャー)
この方法を使えば、話に割り込むことができます。
ただし、割り込んだ際には、自分の話を用意しておいてください。
話を遮ると不快になる
話を遮られることは、誰にとっても不快です。
強引な中断手法をとると、関係性に傷がつきます。
これは会話のスキルの中で、最も重要です。
なるべく中断は、控えないといけません。
どうしても、話を遮る必要があるときは、前項のように、非言語的コミュニケーションを使います。
先に質問する
話が長い人は、「内容が伝わっているかどうか」を気にします。
「全部伝わっているか」を不安に感じています。
そこで、長い話が始まる前に、「こちらから質問をする」という手段があります。
こちら側から、知りたい内容を提示するのです。
これは、相手が話す長さをコントロールするのに、有効です。
こちら側から「内容が理解できた」と、口頭で伝えてください。
(非言語的コミュニケーションは、意思表示がはっきりしないので使いません)
長く話す人は、着地点を見失っています。
あれも、これも、伝えようとします。
よって「話す相手に伝わった」のを確認することで、話を終える可能性があります。
欲求を満たす
話が長い人には、目的があります。
それは、承認欲求を満たすことです。
こちら側が「相手を認めること」で、承認を満たすことができます。
ただし、気分が良くなって、さらに話を続ける可能性もあります。
この方法は、あまり有効とは言えません。
最後の手段
最後の手段は、「相手に話をやめて欲しい」と、伝えることです。
非言語的コミュニケーションが、通用しないときです。
その際には、なるべく丁寧に対応します。
日本語は幸いなことに、主語を隠すことができます。
「あなたは話をやめるべきだ」といった「強い言葉」を使わなくても、日本語では相手に通じます。
(関西のツッコミは、便利なテクニックかもしれません)
「もうその話はいいよ」というのを、様々な言葉を使って、傷つけないように伝えます。
仕事のように「大義名分」があるとラクです。
「仕事が忙しい」、「○○をするのに○○してくる」などです。
自分に選択肢がある
「相手に不快感を与えたくない」にこだわると、自分を見失います。
あなたは、いつでも「やめて欲しい」を、伝えることができます。
自分に選択肢があることを意識すれば、勇気を出して、伝えることができます。
「自分の意志を伝えない人」に、魅力があるかどうかを考えてみましょう。
あまりに相手のいうことを聞く人は、かえって魅力を失います。
短所を話す
チャンスがあれば、「あなたは自分の話が多い」と、相手に伝えましょう。
もし、相手側から「コミュニケーションに関する悩み」を聞いてきたならば、伝えるチャンスです。
これはフィードバックです。
本人が自覚できていないことをフィードバックするのは、本人のためにもなります。
ただし、言葉を慎重に選んでください。
自分の話ばかりする人の心理
自分の話ばかりする人は、どのような心理があるのでしょうか?
意外なことに、科学的にも解明されています。
また、このタイプが男性に偏ることにも、理由があります。
自分の話をすると快感を得る脳
「自己を開示することで、脳が報酬を得る」という有名な研究論文があります。[参考文献※2]
この研究では、自分の情報を伝えることで、脳の報酬系回路が刺激され、ドーパミン[※]が放出されることが判りました。
- 快感や幸福感を感じる神経伝達物質
つまり、自分の話をすることは、快感なのです。
おそらく人類は、自己開示によって、「相手も学習し、社会全体の知識が強化される」という仕組みなのでしょう。
そして「自分の話ばかりする人が嫌われる」のは、「社会全体の知識共有を、妨害する行為だから」かもしれません。
単純に気分が良いから
脳の報酬系回路は、快楽のもとです。
自分の話ばかりすると、報酬系回路が刺激されて、気分が良くなります。
気分が良くなるので、さらに話を続けます。
とても単純な心理です。
ホステスや、キャバクラという業種が成り立つのもうなずけます。
(お酒も報酬回路を刺激します)
自己承認欲求が強いというより、「単に満たされていないだけ」かもしれません。
自分の話ばかりする男性の特徴
男性は、非言語的コミュニケーション[※]が苦手です。
- 表情や視線など、言葉以外のコミュニケーション能力。
男性は女性に比べて、表情や動作から、感情を読み取るのが苦手です。
相手が「うんざりしている」と、気づけません。
自己承認欲求の強さについて、男女差は見つかりません。
もちろん性格によります。
さて、実際に男性は、話す量が多いのでしょうか?
どうやら性差は、なさそうです。
よく話す人は、女性にも男性にも、多く見られます。
一方的に話してしまうのを辞める方法
自分が一方的に話をする場合は、どうしたら辞められるでしょうか?
今までの話をまとめると、答えが出てきます。
自分語りは不公平と認識する
良いコミュニケーションとは、何でしょうか?
それは「お互いで会話の割合が半分ずつ」になることです。
前項の通り「自分語り」は、脳の報酬回路を刺激する快楽です。
相手の話を聞くことが、相手にとってプラスになります。
これを頭の片隅に置きましょう。
SNSを使う
自分語りは、脳にとって快楽です。
しかし、日常生活であまりに多く語ると、嫌われてしまいます。
そんなときは、SNSやブログなどで、自分をさらけ出すのも手です。
自分を語る場所は、ネットにたくさんあります。
あなたが話したいジャンルが好きな人は、周りに見つからないかもしれません。
しかし、SNSや現実世界のコミュニティ(習いごとなどの教室)には、同じジャンルを好む人がいます。
これらを活用するのも、ひとつの手です。
ただしSNSは、手軽に快楽が得られるからこそ、のめり込みには注意が必要です。
(Facebookを1週間辞めると幸福感が増す、という研究報告もあります)
非言語的コミュニケーションに注意を払う
相手の表情や、視線、手の動きに注意してください。
非言語的コミュニケーションに注意を払うと、コミュニケーション能力が向上します。
近年の研究で「頻繁にうなずく人は、性格が良く見える」という報告もあります。[参考文献※3]
このように、非言語的コミュニケーションは、自分の印象すら変えることもできます。
会議ではルールを決める
会議で話が長いのは、参加者の時間を無駄にします。
自由に発言できる場は良いですが、長い話は、防ぐ必要があります。
以下の方法があります。
- ルールを決める。
- 参加者は、話の長さにも注目する。
場合によっては、結論を急がせてください。
まとめ
人間は、周りが静かなとき、「話をしたくない」と感じます。
そして、話に応答すると、ますます話を続ける傾向にあります。
(研究によると)非言語的コミュニケーションは、話の長さに影響しないようです。
視線をそらしたり、表情で訴えても、あまり効果は見込めません。
やはり会話は、キャッチボールです。
そして、相手の話をよく聞いてあげることです。
そうすれば、相手は気分が良くなります。
この法則を知っていれば、自分がそうならないように意識できます。
自分の話をするのは、脳の快楽です。
まったくさらけ出さないと、ストレスが貯まるかもしれません。
そう感じたときは、SNSを活用するのも手です。
参考文献
この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。