左利きは天才かどうか【2017年】最新の研究

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脳のイメージ

左利きは天才でしょうか?

左利きの人は、芸術的センスがあるとよく言われています。
ミュージシャン、建築家、画家などの職業です。

利き手の人口比率に対して、有名人は左利きが多いとも言われます。

それは本当でしょうか?

最新の研究から、利き手と才能について解説します。

そもそも利き手と脳は、どのように違うのでしょうか?
左利きが天才であれば、脳の違いを見ていかないといけません。

この記事では、脳の違いや左利きの確実なメリットについて説明します。

最新の研究報告

数学でマーカーを引く

左利きが天才かどうかについては、多くの研究が行われてきました。
しかし有力な研究データはありません。
まだまだ議論されています。

研究報告があるごとに、「左利きは天才だっと」とか「左利きは低収入(もしくは高収入)」という記事が出てきます。
これらの研究データは精度が低く、結論を出すには早すぎます。

つい最近になって、以前よりは精度の高い研究報告が出てきました。
まずは、どういった内容かを解説します。

数学で有利になる

左利きが数学に有利という研究報告があります。[参考文献※1]
以下のサイトに掲載されています。(英語)

Are left-handed people more gifted than others? Our study suggests it may hold true for maths
People who have an extreme preference for using their right hand may be worse at maths, according to new research.

これは左利きに関する最新の研究報告です。

この研究は、従来よりも対象人数が多く、精度が高いものです。[1]

  1. 掲載されているカンバセーションというサイトも、科学においては信頼できる部類です。

研究内容は以下です。

  • イギリスのリバプール大学の教授らによる研究
  • 対象は2,300人以上の小学生と高校生

従来の研究とは違い、以下のように左利きと右利きで分けられています。

  • ほぼ右手を使う(強い右利き)
  • 右手が多いけど、左手も使う(右利き)
  • 左手が多いけど、右手も使う(左利き)
  • 行為に関係なく両手が使える(両利き)

対象者に「何にどちらの手を使うか」という細かいアンケートを取っています。
さらに数学の難易度によっても、結果が分けられました。
これらにより、従来よりも精度の高い結果が得られます。

研究の結果

研究の結果は意外です。

左利きは、数学において優位だと判明しました。

難度の高い数学においてです。
この傾向は、男子高校生に多く見られました。
しかし単純な計算は、利き手の違いが見られませんでした。

そして強い右利きは、難度の高い数学で不利になると判明しました。

注意点

この結果を見て「左利きは数学の能力が高く、頭が良い」と解釈してはいけません。

以前の研究では「左利きは数学の能力が低い」という報告もありました。
今回の研究は、それが覆されただけです。

「左利きだから○○だ」というほど、脳は単純ではありません。
強い右利きだからといって、将来を気にする必要はないでしょう。
もちろん適度に左手を使えば「強い右利き」ではなくなります。
(ピアノなど両手を使う趣味を含みます)

左利きと脳

脳のイメージ

そもそも左利きと右利きで、脳の違いはどうなっているのでしょうか?

左利きが天才というならば、脳の違いから知る必要があります。

利き手は言語に関係がある?

右利きのうち、90%以上の人は、言語野[1]が左脳にあります。
そして左利きの50%〜70%の人は、言語野が右脳にあります。[2]

  1. 言語活動を司る脳の部位
  2. 文献により、比率は異なります

逆に考えてみると、どうでしょうか?

左利きの30%〜50%の人は、右利きと同じような構造だと言うことです。
そして右利きの5%〜10%の人も、左利きと同じような構造です。

やはり「左利きだから○○だ」というほど、単純な話ではありません。
前項の「左利きは数学で優位」という研究報告は、悩むことではないと言えます。

優位半球は名前だけ

言語野がある方の脳は「優位半球」と言います。
しかし、優劣があるわけではありません。
これを拡大解釈して広まったのが右脳派・左脳派です。

言語の処理は、両側の脳で行われています。
まだ解明はされていませんが、優位半球の逆側では、言葉のリズムやユーモアなどを処理しています。

左利きと空間認知能力

左利きの人は、半側空間無視が起きにくいと判明しています。[参考文献※2]
半側空間無視が起きると、左側の空間が認識できなくなります。
これは左利きと、空間認知能力に関係がありそうですが、まだ判明していません。

良く言われるのが「左利きは、空間認知能力が高い」という話です。
空間認知能力には、以下の傾向があります。

  • 空間認知能力の優れた人は、男性に多い
  • オーケストラ楽団員は、空間認知能力が高い
  • アクションゲームをする人は、空間認知能力が高い
  • 数学の課題にも空間認知能力を使う

数学の課題にも、空間認知能力が使われます。
前項の「左利きは数学で優位」と、関連性があるように思えます。

脳梁が大きい

左利きの人は、脳梁が大きい傾向にあります。
サイエンスにも掲載されています。(英語)

The brain connection: the corpus callosum is larger in left-handers | Science

脳梁は、左右の脳の情報を受け渡しする部位です。

なぜ左利きだと、脳梁が大きいのでしょうか?

世の中の道具は、右利き用に設計されています。
左利きでも、右手を使うことになります。

「左手の神経と右脳」と「右手の神経と左脳」は繋がっています。

交叉支配のイメージイラスト

交叉支配と呼びます

手だけではなく、左右の脳も連携するので、脳梁が大きくなるのです。

脳梁が大きいと、空間認知能力は高くなります。

前項の「左利きは空間認知能力が高い」を裏付けているように思えます。

しかし単純ではありません。

脳梁は、女性の方が大きい傾向にあるからです。
これは「空間認知能力の優れた人は、男性が多い」と矛盾しているように思えます。

このように脳は複雑です。
様々な要因で、能力や才能は異なります。
現時点では「利き手だけで判断するべきではない」と言えます。

空間認知能力と才能

空間認知能力が高いと、ミュージシャン、建築家、画家などの職業で優位となります。
これらの職業が、左利きに多いという研究データがあります。

しかし、それを否定する(利き手に差がない)研究データも存在します。
どちらも小さなデータです。

結局は、結論が出ません。
利き手を気にするよりも、目指している職業のトレーニングをした方が確実です。

左利きと才能

もし左利きと才能に関係性があるのなら、脳梁の大きさは説得力を持っています。
左手を積極的に使うことで、右利きでも、脳梁が大きくなる可能性はあります。
しかし、証拠となる研究報告はありません。
あくまで考えられるだけです。

利き手と言語野については、あまり才能と関係があるようには思えません。
言語野がどちらの脳にあっても、才能と結びつける理由は見つかりません。

左利きのメリット

左利きにはメリットがあります。
前述のように「左利きは数学で優位」という研究報告もありますが、判断するには早すぎます。

ひとつ確実なメリットがあります。

それは、左利きはスポーツで有利ということです。
ただし「相手と対戦する」競技に限ります。

野球、ボクシング、卓球などでは、明らかに左利きのトッププレイヤーが多くなっています。[参考文献※3]

世界人口の90%は右利き、10%は左利きです。
上記のトッププレイヤーは、10%の比率を大きく上回っています。[1]

  1. 野球のトップ打者は5割が左利き

これは左利き選手と、対戦する機会が少ないからです。
対戦相手が少なければ、その分だけ、左利き選手を攻略するのが困難になります。

左利きの選手が少ない競技もあります。

それはゴルフです。
ゴルフは、直接相手と対戦する競技ではありません。

プロゴルフでの左利き選手は、10%を大きく下回る4%になります。
左利き用のゴルフクラブが少ないのも要因です。
道具の共有化が難しいスポーツは、左利きの選手が少なくなります。

これらのスポーツ人口のデータは、人間社会の人口データとリンクするという理論があります。
スポーツ人口のデータは、人間社会の「協調と競争の割合」を示しています。

もし「力がすべて」という世界であれば、右利きと左利きの人の割合は、50%ずつだったのかもしれません。
この理論は、人間社会が「9割の協調」と「1割の競争」であることを意味します。

左利きのゴルファー

左利きの有名人と才能

オバマ大統領は左利きです。
アメリカの大統領は、オバマ大統領まで3人連続で左利きでした。

柔軟な思考と直観が、左利きに関連しているかと思えるかもしれません。
しかし、科学的には根拠がなく、関係しそうな理論もありません。

アメリカ大統領に関しては、過去6人のうち4人が左利きです。(もしくは両利き)
これは統計で有意に見えます。
しかし欧米諸国の大統領(首相)になると、左利きが多いわけではありません。

このように偏りがある部分のみが、注目されてしまいます。
この話題に限らず、信じてもらうために特定の部分を抽出することはよくあります。
本人に誘導する意図がなくてもです。

本当に左利きの有名人か?

画家の「ピカソは左利き」というネットの情報があります。
実際ピカソは右利きです。

相対性理論のアインシュタイン、画家のムンクも右利きです。
彼らは右利きにも関わらず、左利きと言われることが多いのです。
(海外から情報が来て、国内で根付いてしまったようです)

さらに証拠が不十分なのに、左利きと決められている有名人がいます。

  • ゴッホ
  • バッハ
  • ベートーヴェン
  • ルイ16世

彼らは実際に左利きだったかもしれませんが、確たる証拠は見つかっていません。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、怪我だった可能性もあります。
そして左利きで有名なモーツァルトも、証拠となる文献はありません。

どちらにしても、左利きだから有名人になれることはありません。
利き手を気にするよりも、目標に対して、行動した方が良いでしょう。

左利きになる方法

今から左利きになるには、ひたすらトレーニングしかありません。
あまり左手を使ってこなかった人は、子どもが箸の使い方を覚えるように、大変かもしれません。

私はトレーニングで、左利きに矯正した経験者です。
左利きになる方法は、以下の記事が参考になるかもしれません。

苦労する割には、見合った価値はないかもしれません。

左手を使うのであれば、ピアノを習うという方法もあります。
その前にタッチタイピングでも、良いかもしれません。

まとめ

つい最近になって「左利きが数学に優位」という研究報告がありました。
信頼できる研究報告だったので、ちょっと驚きました。
それまで利き手と才能の話は、関連性が薄かったからです。

とくに「左利きは天才になる可能性が高い」というのは、疑似科学に近いものでした。

そうは言っても、ひとつの研究報告に過ぎません。
天才というには、無理があります。

脳の構造は、左利きと右利きで変わらなかったりもします。
言語野がどちらにあっても、それが才能に大きく関わるとは思えません。

ただし脳梁の大きさは、空間認知やコミュニケーションにおいて、有利になる可能性も考えられます。
例えば脳梁が大きいと、ユーモアが理解しやすいかもしれません。
どちらにしても証拠はなく、あくまで考えられるだけです。

現時点では、右利きの人に「左手も使った方が良い」とまでは言えません。

ある科学者は、ピアノが脳に良いと主張しています。
ピアノなどの楽器は、両手を使います。

あくまで相関関係ですが、東大生にピアノ経験者が多いという話もあります。

東大生にピアノ経験者が圧倒的に多い理由 | 学校・受験
東大生の多くがピアノを習っていると、よくいわれる。実際にそれを示す調査結果も多い。今回、拙著『習い事狂騒曲 正解のない時代の「習活(しゅうかつ)」の心得』を著すにあたり、「東大家庭教師友の会」の協力…

もちろん可能性があると言うだけで、別の理由も多く関係します。

音楽と脳については、海外でも研究報告が多数あります。
多くの研究データは、音楽が脳にプラスの効果をもたらしています。
ただし結論を出すには早すぎます。

また、こういった考え方もできます。

数学が得意だから、空間認知能力が高いのかもしれません。

数学のスキルが欲しいのであれば、ひとつ言えることがあります。

左利きになるよりも、ピアノを習うよりも、数学の課題に挑戦する方が早いということです。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. Are left-handed people more gifted than others? Our study suggests it may hold true for maths
  2. Does left-handedness confer resistance to spatial bias?
  3. A model balancing cooperation and competition can explain our right-handed world and the dominance of left-handed athletes

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