才能がない人はどうすれば?【才能を育てる方法&あなたの才能診断】

路上アーティスト

才能がない人は、どうすれば良いのでしょうか?

多くの人が才能について、自分なりの見解を持っています。
「努力こそが才能」と言う人もいます。

プロの人たちは、自分に才能があったとは思いません。
なにかしら思考の偏り(バイアス)があるのかもしれません。

私も仕事(WEBデザイン)の才能があるとは言いません。(やはり認めたくないのです)
しかし認知特性診断をしてみると、デザインに関する才能が見つかりました。

科学的にみて、才能とは何でしょうか?

診断方法や「才能を育てる方法」について説明します。

才能の診断方法

認知特性で分けられた人たち

自分には、どんな才能があるのか?
才能を見つける診断方法があります。

医学博士の本田真美先生が発案された「認知特性診断」です。

この診断は「今の」あなたの才能を見つけることができます。

【認知特性】あなたの才能を見つける簡単な診断方法がある

【認知特性】あなたの才能を見つける簡単な診断方法がある

上記の記事に詳しく書いていますが、認知特性の概要を説明します。

6タイプの才能

認知特性は、視覚、言語、聴覚の3タイプに分けられます。
さらに2つずつのタイプがあり、計6タイプの才能に分けられます。

視覚優位者のイラスト
視覚優位者 写真タイプ
このタイプは見たものを「写真を撮るように」画像で記憶できます。
さらに目で見た情報を、瞬時に処理できます。
向いている職業:デザイナー、写真家、画家など
視覚優位者 三次元映像タイプ
三次元映像タイプは、写真タイプに時間軸が加わります。映像として記憶したり、処理ができます。
初めての場所に旅行したとき、順序よく時間を追うように覚えられます。
向いている職業:テレビカメラマン、映像クリエイター、建築家、パイロットなど
言語優位者のイラスト
言語優位者 言語映像タイプ
このタイプは、文章を映像化して記憶できます。
また、イメージと言語を結びつけることができます。
向いている職業:コピーライター、絵本作家、雑誌編集者、作詞家など
言語優位者 言語抽象タイプ
言語抽象タイプは、言葉に対し、図を順序よく結びつけることができます。
紙に書いてある文字を、目から記憶しやすい特性を持っています。
向いている職業:内科医、作家、教師など
聴覚優位者のイラスト
聴覚優位者 聴覚言語タイプ
このタイプは、言葉を聞くことで記憶するのが得意です。
話を聞くだけで内容を理解し、イメージよりも言語で思考の処理ができます。
音が理解できるので、韻を踏むことも得意です。
向いている職業:弁護士、落語家、教師、アナウンサーなど
聴覚優位者 聴覚&音タイプ
聴覚&音タイプは、聴覚言語タイプより、言語を持たない音階などをイメージしながら、脳で処理できます。
絶対音感がある人も、このタイプに属します。
入力された音を、自らの声で出力する「モノマネ」が得意な人もいます。
向いている職業:音楽家など

認知特性診断は、記憶やコミュニケーションにも影響します。
自分の認知特性を知ると、人生において何かと便利です。

認知特性は生まれつきの才能か?

この認知特性は、生まれつきの才能でしょうか?

遺伝子の影響はあるようですが、それが全てではありません。
人間の脳は、環境やトレーニングで変化します。(後述します)

遺伝と才能について

ギターを弾く女性

音楽の才能は遺伝に関わります

遺伝によって、才能は決まるのでしょうか?
誰もが気になると思います。

答えはイエスとも、ノーとも言えます。
科学的な見解から、遺伝と才能について説明します。

音楽の才能は遺伝による

2008年、スウェーデン・ヘルシンキ大学のイルマ博士らは「音楽の才能が遺伝に関与する」という、重要な研究を報告しました。[参考文献※1]

この研究では、プロ、もしくはアマチュアバンドなど、積極的に活動しているアーティスト224人の家族について、遺伝子の分析がされました。

結果は驚くべきものでした。

音楽訓練を受けていない人でも、音楽の適性テストで優秀だと確認されました。
イルマ博士は、音楽特性において、遺伝は50%もの割合を占めると言います。

この研究では、音楽の才能が「言語に影響する遺伝子」と関わることも判明しました。

遺伝子が影響する言語力と計算力

実は「読み書き」や「計算力」などは、遺伝子の影響を受けると言われていました。
イルマ博士らの研究を見ると、やはり正しいようです。

とはいえ遺伝だからといって、あきらめる必要はありません。
読み書きや計算は、日常でよく使います。
少し多めに勉強すれば、克服できます。

さらに確信を得る研究報告

スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究者らは、さらに影響のある研究結果を報告しました。[参考文献※2]

この研究では、一卵性双生児1,211組と、二卵性双生児1,358組の遺伝子が分析されました。

結果は「音楽の適正スコアと練習量は相関しない」と判明しました。
つまり練習量よりも、音楽の才能は遺伝が占めるということです。

他にも様々な研究報告があります。
大方の見解は「音楽の才能は、遺伝を否定できない」となっています。

練習は重要

これらの調査結果をふまえて、研究者たちはこう言います。

「練習が不要とは言いません。楽器の操作、手の運動能力(器用さ)は、遺伝ではなくトレーニング量です」

音楽が好きという感情が影響する?

上記の研究報告は、別の見方ができると分かりました。

音楽才能の遺伝を持つ被験者は、より多くの練習を積んでいる傾向があったのです。

これは、遺伝子が音楽の才能だけでなく「音楽が好きという感情」に、影響している可能性があります。

「好きでなければ続かない」というのは、誰にでも経験があることでしょう。
続けることは、努力です。
その努力は、根本的に「好き」という感情に支えられています。

音楽が好きであれば、練習をあきらめるべきではありません。

音楽以外の才能はどうか?

絵を描く能力

絵を描く能力はトレーニング次第

それでは、音楽以外の才能も遺伝でしょうか?

実は、音楽以外の才能となると「練習、訓練(トレーニング)」の割合が大きくなります。
つまり、遺伝の要素が少なくなります。

絵を描く能力

例えば絵を描く能力は、知覚に影響します。

認知特性で言えば、まさしく視覚タイプが得意とする才能です。

手の筋肉が思い通りに動かないと、絵は上手く描けません。

ロンドン大学のレベッカ教授らは、芸術家の脳をスキャンした興味深い論文を発表しました。[参考文献※3]
芸術家は、そうでない人に比べ、小脳の活動が異なったのです。
小脳は、イメージ通りに手を動かすのに使われます。
(分かりやすく言うと、小脳の活動によって、手先が器用になっていきます)

これは遺伝のように、先天的なものではありません。
つまり練習によって、得られる才能です。

科学者らは「練習で得られない才能は、ほとんどない」と言います。
この「ほとんど」という部分の例外は、おそらく音楽の分野でしょう。

才能と努力の関係

マラソンをする女性

トレーニングは脳を変えます

才能は努力によって開花する。
そう信じたいものですが、間違ってなさそうです。

最初に紹介した認知特性診断は「今の」才能が分かる診断です。
「今の」を付け加えたのは、環境や訓練で脳が変化するからです。

脳は変化する

環境やトレーニングによって、脳は変化します。
例えば将棋のプロは、相手の手を読むのに、運動に関する脳部位を使います。
直感を鍛える方法にて、詳しく解説。]

環境やトレーニングによって、新しい才能が得られることを示しています。
脳には、以下のような性質があるからです。

  • 頻繁に使う脳の機能は、強化される。
  • 逆に使われない脳の機能は、弱まる。

例えば、目が見えない人の脳をスキャンした研究があります。

視覚で使う脳の部位が、視覚を失った人では、どのように変化するのでしょうか?
視覚で使っていた部位は、視覚以外の機能で使われ始めるのです。[参考文献※4]
「そこの脳をあまり使わないのなら、別の機能で使わせて」というイメージです。

これらは「脳の可塑性(かそせい)」と言います。

脳が変化する仕組み

脳の可塑性については、詳しく説明すると大変な量になります。
ここでは、才能に絞って簡単に説明します。

信州大学のホームページに、分かりやすい例えがあります。

http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject07/no12/html/section1.html

コンピューターの回路は、一度設計されると変わりません。
しかし脳の回路は、遺伝子によって設計されても、後で変化させることができます。
環境やトレーニングが、脳を変化させるのです。

才能を育てる方法

タブレットで勉強する子ども

好きでなければ才能は得られない

環境や訓練で、脳は変化します。
そして才能を得ることができます。

しかし、見過ごしているものがあります。

それは「続けられるか」です。
やはり好きでなければ、物事は続きません。

才能を得る方法として、コツや考え方を説明していきます。

才能が開花するまでの期間

どれぐらい時間を掛ければ、脳は変化するのでしょうか?
才能が開花するまでの時間には、目安のようなものがあります。

手(筋肉)が慣れるのは一週間程度

マウスを上下逆さにして、仕事をします。
最初は苦労しますが、わずか一週間程度で操作に慣れます。

「上下左右が逆さに映るメガネ」を掛けても、だいたい一週間で日常生活を送れます。

どうやら脳(小脳)が学習するのに、一週間程度は掛かるようです。

脳が変化するは3〜4ヶ月程度

次に脳の活動が、変化するまでの期間です。

前述のプロ棋士の研究報告では、3〜4ヶ月程度のトレーニングで、別の脳部位を使い始めました。

他にもジャグリングの研究もあります。
やはり3〜4ヶ月程度のトレーニングで、別の脳部位を使い始めるようです。

プロになるまでの期間

その分野のエキスパートになるには、いったいどれほどの経験を積めば良いのでしょうか?

古い研究では、フロリダ州立大学のエリクソン博士が報告した「1万時間ルール」があります。
1万時間(5〜10年)掛ければ、誰でもエキスパートに慣れるという法則です。

現在では「1万時間ルール」は、ほとんど支持されていません。
1万時間は平均値であって、3千時間や2万時間でエキスパートになる人も含まれます。

こればかりは、個人差があります。

それでは何が影響するのでしょうか?

ミシガン州立大学のデービット教授は、ワーキングメモリ(作業記憶)がひとつの要因と言います。[参考文献※5]
ワーキングメモリは、頭の中に保持する「短期的な記憶(目的達成の材料)」です。
ワーキングメモリの個人差が、才能を開花させるまでの時間に影響するのです。

さらにデービット教授は、こう言います。
「長い練習と経験が必要だからこそ、専門家が成り立っている」

私はそれを聞いて、納得するしかありませんでした。

好きでなければ才能は手に入らない?

砂で作る芸術作品

本当に好きで、続けられますか?

才能を得るには、多くの練習や経験が必要です。

そこで重要なことは、続けられるかです。

続かなければ、才能は手に入らないのですから、好きであることは重要です。
「何が好きか」は、遺伝子が関わっている可能性もあります。
(赤ちゃんの頃の経験が関わる可能性もあります)

それでは「好き」とは何でしょうか?

続けても苦にならない

私はサイトを作ることが好きです。
休日を丸一日潰しても、達成感が優先されるようです。
「続けても苦にならないこと」は、才能を育てる上で、重要な要素です。

「続けられる」ことが大切

私は音楽もゲームも好きです。
でも、楽器を弾いたり、ゲームを作ったりする作業は、苦痛です。

ただ何となく続けられたり、達成感があったりすることが必要です。
音楽やゲームを「作ること」には憧れますが、その工程は続かないのです。

「インスタグラムが好きですか?」という質問には、2つ以上の要素があります。
インスタグラムで「いいね」されると、欲求が満たされ、気分が良くなります。[1]

  1. 承認されると、脳の報酬系回路が反応します。

それは「写真を撮るのが好き」とは、別の要素です。

「写真を撮る行為が好き」でなければ、才能は得られないでしょう。

好きであることは、才能を育てるのに、最も重要な要素です。

マンネリは「好き」ではない

ずっと同じ事を繰り返すと、マンネリ化します。

マンネリ化は「飽きる」のを防止するシステムです。
その前に「飽きる」というのは「食事もとらずに同じ事を続けること」を防止するシステムです。

不思議なことに、マンネリ化すると、苦痛ではなく慣れていきます。
このマンネリ化は「好きで続けている」のではありません。

今やってることは、続いてはいるけれど、本当に好きなことでしょうか?

そこに注意すれば、自分の「好き」を見つけられるはずです。

動機を整理しよう

もう少し「続けられること」について、詳しく説明します。
才能にとって、重要な要素です。

ものごとを続けるには、動機が必要です。
この動機には、2種類あります。(正式な名称はありません)

内的動機
「ただ何となく好き」という感情で動いているもの。続けても苦にならない。
目的動機
「大きな収入を得たい」や「名声を得たい」など、目的から発生する動機。

「目的動機」で行動すると、やはり続かないのです。

才能を得るには、内的動機こそが必要です。

成功するのは、内的動機のひと

イェール大学のエイミー博士らは、14年間に渡る研究で、内的動機が出生に影響すると報告しました。[参考文献※6]

「大きな収入を得たい」とか「出生したい」などの動機で行動する人ほど、出世できないことが判明しました。

「ただ何となく好き」ということは、(結果として)才能を育てる要因だったのです。

目的動機が続かないのは、私にも経験があります。
(もっと早く知っていればと……)

結論

才能を育てる方法

この画像は転載できます。(下のクレジットだけ残してください)

才能を得るには「ただ何となく好き」という感情が、大きな要素を占めます。

「苦にならない」「達成感を得るもの」を見つけることが、才能を育てる近道です。

生まれつきの遺伝は、あまり気にすることはありません。
脳は変化するからです。
ただし音楽の才能は、遺伝を否定するのが難しいと言えます。

好きなことで収入を得られるか?

内的動機の「何となく好きなこと」は、出世の要素となり、結果的に収入も高くなる可能性があります。

ただし、内的動機だけで完結する仕事は、ほとんどないかもしれません。

私はWEBサイトを作ったり、育てるのが本当に好きです。
しかし現実の仕事は、そうと限りません。
見積もりをして、プレゼンをして、スケジュールを調整し、メンバーのサポートをします。
仕事上の立場も、変化します。

YouTubeに「好きなことで生きていく」というキャッチコピーがあります。

ユーチューバーは、企画をして、演者となり、撮影をして、編集をして、宣伝もこなします。
すべての工程を「ただ何となく好き」になるのは、難しいかもしれません。
(私の場合は、動画の編集だけが好きです)

マンネリを利用しよう

好きでない工程を避けるのは、現実的に難しいものです。
そんなときは、マンネリのシステムを利用しましょう。

マンネリのシステムによって、脳は慣れることができます。
(嫌なことも「慣れてしまう」ことに注意してください)

これらを踏まえて「好きなこと」を見つけるのが良いでしょう。
才能がないのなら、才能を見つけることができます。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. Musical Ability: Hereditary or Environmental?
  2. 【PDF】Practice Does Not Make Perfect: No Causal Effect of Music Practice on Music Ability
  3. Drawing on the right side of the brain: A voxel-based morphometry analysis of observational drawing
  4. Preserved functional specialization for spatial processing in the middle occipital gyrus of the early blind.
  5. Deliberate practice: Is that all it takes to become an expert?
  6. Multiple types of motives don’t multiply the motivation of West Point cadets
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