アニメ好きには理由があります。
私が(中途採用で入社した)同僚と、昼食を一緒にしたときのことです。
同僚の趣味は、アニメ鑑賞です。
私は話題を振ることができませんでした。
「アニメの面白さが分からない」からです。
どうして「アニメの面白さが分からない人」がいるのでしょうか?
アニメが好きな人、嫌いな人には、特徴があります。
「アニメはマンガよりも時間が掛かる」といった話ではありません。
私には、アニメを楽しむ才能がなかったのです。
人間には、認知における能力に差があります。
なぜアニメが好きなのか、なぜアニメを好まない人がいるのか、その理由について解説します。
アニメ好きを決めるもの
人間には、向き・不向きがあります。
これはどこから来るのでしょうか?
例えば遺伝の影響によって、文章理解が得意だったり、苦手だったりします。
アニメの好き・嫌いにも、似たようなことが起こります。
認知特性が影響する
向き・不向きには、認知特性が影響します。
認知特性診断は、自分の才能を見つけることができます。
まだ見てない方は、以下の記事もご参考ください。
認知特性には、大きく分けて3つのパターンがあります。
- 視覚優位者
- 言語優位者
- 聴覚優位者
以下のように、趣味や才能に影響します。
- 視覚優位者は、視覚情報の処理に優れるため、趣味も視覚情報を好みます。
- 言語優位者は、言語処理能力に優れるため、言葉を使う趣味を好みます。
- 聴覚優位者は、聴覚情報の処理に優れるため、趣味も聴覚情報を好みます。
聴覚優位者や視覚優位者は、アニメの好みに影響するのです。
具体的な例を次項で説明します。
アニメ好きの人と話して分かったこと
アニメが好きな人の話を聞いて、分かったことがあります。
「声優による演技を楽しめる」ことです。
これは認知特性でいう「聴覚優位者」の能力です。
私の認知特性診断だと「聴覚」は、もっとも低いスコアです。
そのため「声優の演技」が分かりません。
(あの「となりのトトロ」に出てくる主人公のお父さんが、棒読みだと気づいてもいませんでした)
つまり私には「聴覚からの入力を処理する能力」がなかったのです。
アニメを楽しめるというのも、ひとつの才能です。
アニメに興味ない人を楽しませる方法
同僚は「声優の雑学」を教えてくれました。
「○○のアニメの○○というキャラクターは、○○と同じ声優」
私には新鮮でした。
私は「声の違いが分からない」からこそ、この話が面白いと感じることができました。
映像を楽しめる視覚優位者
私の認知特性は、視覚優位者です。
そのためか、映像を楽しめます。
(視覚優位者は、マンガの画力も楽しめます)
私はアニメをあまり見ませんが、「宮崎駿の作品」は大好きです。
多少ストーリーに共感できなくても、宮崎作品の映像表現は格別です。
やはり認知特性は、趣味や娯楽の「好き・嫌い」に影響すると言えます。
小説を楽しめる言語優位者
私は(どちらかと言えば)実写映画よりも、原作の小説を好みます。
役者の演技よりも、活字で想像した方が、好きだからです。
私の認知特性は、視覚>言語>聴覚です。
ハリウッドなどの派手なCGは大好きですが、日本の映画だと、原作の小説を買うようにしています。
認知特性ごとの趣味や娯楽について
認知特性は、才能や記憶方法に関わります。
前述のように、趣味や娯楽にも影響を与えます。
認知特性ごとの趣味や娯楽の好みをまとめると、以下のようになります。
- 視覚優位者は、映像やマンガを楽しめる
- 言語優位者は、小説や活字を楽しめる
- 聴覚優位者は、役者や声優の演技を楽しめる
アニメが好きな多くの人は、役者や声優の演技を楽しめる人です。
これは才能とも言えます。
アニメよりも小説が上だと思っている人は、役者の演技が理解できなかったりするのです。
趣味や娯楽に優越はありません。
ただし小説に関しては、ワーキングメモリを使うので、少しは頭の体操になります。
アニメが好きでない理由は創作される
昔、美容院のスタイリストさんと、アニメを見ないという話をしました。
(まだ認知特性を知りませんでした)
私もスタイリストさんも、アニメよりマンガ派です。
2人とも「アニメを見る時間がもったいない」という話をしていました。
いま思えば、私は間違っています。
理論の崩壊
私は映画よりも、小説を好みます。
それなのに「小説を読む時間がもったいない」と思いません。
自分の中で、矛盾しているのです。
なぜ勘違いが起こるのでしょうか?
それは脳の特性だからです。
「自分のことは、自分が一番知っている」と思い込んでいるからです。
意識の中から創作する脳
自分で認知特性に気づくのは困難です。
どちらかと言えば、認知特性は無意識です。
無意識で判断したことは、意識できる材料の中から後で創作しているのです。
これは誰にでも見られる脳のクセです。
サブリミナル効果
例えばサブリミナル効果があります。[1][2]
- 映像に「人間が意識できない」コマを挿入する手法
- 現在は禁止されています
サブリミナル効果で、コーラの写真を挿入すると、被験者はコーラが飲みたくなります。
これは無意識の領域です。
しかし、理由を聞くと「炭酸が欲しかった」とか「ノドに刺激が欲しかった」という理由を創作します。
サブリミナル効果で見た「コーラの写真」が意識に入っていないのに、炭酸の刺激を欲していたと勘違いをするのです。
ここでは分かりやすい説明をするため、コーラを例にしています。
「映画館でコーラの広告をサブリミナルで挿入すると、売り上げが伸びた」という有名な実験結果は、ねつ造であったと判明しています。
そのため「購入するほどの影響はない」と言われていますが、無意識の中には刻まれています。
好みの問題
「アニメを見る時間がもったいないからマンガ派」という理由は、それっぽい創作の理由です。
私は映画より小説が好きですが、「小説の方が人物を想像できる」という、それっぽい理由を言います。
実際は役者の演技も分からないし、活字が好きなだけです。
脳は「自分のことは自分が一番知っている」と思い込んでいます。
人間には「すべてを知りたい」という欲求があるため、それっぽい理由を見つけると、納得して欲求を満たしているのです。
この記事の要点
人には認知特性があります。
それは才能にも関わります。
アニメ鑑賞が好きな人は、声優や俳優の演技を楽しむ才能があります。
そう考えると、趣味や娯楽に優越はないと言えます。
アニメにしても映画にしても、時代が進むにつれて、ストーリーが複雑になっています。
斬新なストーリーやアイデアが、脳に刺激を与え、視聴者がそれを好むからです。
大人向けのアニメも多く存在します。
「アニメは子ども向けだから」という理由もないでしょう。
脳は「結論」さえあっていれば、自分が勝手に創作した理由でも、真実だと思い込みます。
認知バイアスという脳のクセです。(信念バイアスに該当します)
「アニメが好きでない」という結論があれば、それに至る思考を疑うのは難しいことです。
逆に「なぜアニメが好きなのか」という結論があれば、それっぽい理由を創作します。
なぜアニメが好きなのか、なぜアニメが好きでないのか?
私の結論は、脳による認知の好みです。