・掲載情報 タイトル:ゲームと不登校――学校復帰へのサインを見逃さないために
・著者:守矢俊一
・出版社:ブックマン社
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ゲームに没頭するのはエネルギーが戻ってきた証拠?!そのサインをどう活かすか。
不登校の初期段階において、ゲームは不安を打ち消すための「現実逃避」手段となりえます。しかしその後没頭してしまうことによりどんどん利用時間が増え、最終的に「昼夜逆転」の原因になってしまうなどリスクも指摘されており、不登校の支援関係者のなかでも「好きにやらせたほうがいい」から「全面禁止!」など、意見も様々です。
しかし視点を変えれば、ゲームに没入できるのはエネルギーに余裕がある、またはエネルギーが回復してきたサインとしても考えられます。本書ではゲームを単なる”悪”として排除するのではなく、子どもとの共通言語や性格分析のツールとして「戦略的に利用」することを提案しています。むしろ好きなゲームによって子どものタイプをよく踏まえれば、それぞれに合った学習指導やアプローチを行うことができ、子も喜ぶし個性をさらに伸ばせると提案します
ゲームに詳しくなれば、子どもの気持ちもよくわかる
本著はゲームをむしろ「研究」することで、子どもの気持ちや意欲に対する様々な示唆を提供してくれます
・子どもの「好み」に基づいたタイプ:コツコツと積み上げるのが好きな「農耕民族型(マインクラフト等)」、競争心が強く短期決戦を好む「狩猟民族型(FPS等)」、理屈や攻略を好む「問題解決型」。わが子がどのタイプかを知ることは、単にゲームの話をするだけでなく、その後の学習支援や進路選択、ひいては自立に向けたコミュニケーションを取る上で大きなヒントになります。
・「Wi-Fiを切る」「家賃を請求する」:一見すると過激にも思える提案もなされていますが、その根底にあるのは「快適すぎる環境に安住させず、外の世界へ目を向けさせる」という、親としての覚悟と愛情です。不登校を単なる停滞ではなく、次のステップへ進むための準備期間と捉えるならば、本書は具体的な「動き出し方」を教えてくれる良きガイドとなるでしょう。
この本について
・独自の観点
この本について 世の中の不登校関連書籍の多くが「無理をさせず、見守りましょう」というスタンスをとる中で、本書は一石を投じる内容となっています。著者の守矢氏は、長年の支援経験から「ただ見守るだけでは、ゲーム漬けの現状は変わらない」と説きます。
・相対評価
・評価軸の傾向(ポイント形式) 理論(抽象) ⇔ 方法(具体): 方法(具体)に特化。好きなゲーム(特定タイトル)により子どもを個別タイプ分けするなど、具体的な情報が豊富に示されています。
・ドライ(客観) ⇔ ウェット(感情): ウェット(感情)。子どもの「ゲーム好き」をみとめたうえ、それを活かす方法を中心に伝えています。
・今すぐ(短期) ⇔ じっくり(長期): 短期。今日から使える技術(短期)と、むしろ「今すぐ対処すべき」を強調しています。
・当事者目線 ⇔ 支援者目線: 支援者(親・教師)目線。主にゲームにまつわる利用ルールや注意点に詳しい
・ポジティブ(肯定的) ⇔ ニュートラル(客観的): ポジティブ。ゲームを利用することで不登校も改善できるという、希望に満ちたメッセージです。
・発達特性との関連度: なし
まとめ :ゲームを最大限利用する、子どもとゲームの戦略指南
なにより本著による主張は、ゲームを取り上げること自体が目的ではなく、ゲーム以上に熱中できる「自分の人生」や「未来」を子どもに見せることこそが重要だと気づかせてくれる一冊です。大人は「”好き””楽しい”ことから人生を目的を見つける」アドバイスはしても、一方でそんなゲームを肯定してくれなかったり。しかし本著は、そんな矛盾を、あえてポジティブなエネルギーに変えるため具体的な方法を教えてくれます。
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スガヤのふせん ~個人的ブックマーク
ところが、驚くことに誰に聞いても、何を読んでも、同じ答えが返ってきます。「学校は無理に行かせない」「不登校の理由は聞かない」「本人が行きたいと言い出すまで学校を休ませる」――。(中略)「このまま見守っていて、いいわけがないっ!」(本文より)
多くの保護者の方が抱く「見守るだけで本当にいいのだろうか?」という焦燥感を、著者は代弁してくれています。私たちのサイトでも「おどらず、どうじず」を掲げていますが、それは「何もしない」ことと同義ではありません。子どものエネルギー状態を見極め、適切なタイミングで「自立」への刺激を与えることの重要性を再確認しました。
その子が好んで遊んでいる(ハマっている)ゲームの種類が分かれば、その子の性格や考え方の傾向を大まかに推測することができる。これは、不登校の回復に利用できるのではないだろうか。(同上)
なかでこれは「目から鱗」の視点です。ゲームを敵視して「やめなさい」と言うのではなく、「なぜこのゲームが好きなのか」を観察することで、その子の「脳の得意分野」が見えてくる。たとえば、FPSを好む子には短期集中型の課題を与え、マイクラを好む子には成果が目に見える積み上げ式の課題を与える。親が子どもの「OS」を理解するためのツールとしてゲームを捉え直す、非常に理知的なアプローチだと感じました。
人生には、絶対に、「諦める力」が必要なのです。(中略)……そのときに、「どう諦めるのか?」を考えさせることも、大切な教育なのです。
ドキッとする言葉ですが、真理をついています。なんでも思い通りになる快適な家の中と違い、社会は理不尽なことも多い場所です。Wi-Fiを切る、といった荒療治の提案も、実はこの「思い通りにならない状況」を擬似的に作り出し、そこからどう工夫して生き抜くかという「生きる力」を育むための愛情なのだと解釈しました。再登校だけでなく、その先の社会自立を見据えた視点です。


