編集長のスガヤです。前回までは”なぜ(Why)”書くことがよいのか?を解説しました。今回からは不登校の「キミ」へ、”何を(What)””どのように(How)”書くとよいのか?について、詳しく説明してみます。
まずはとっ散らかったココロをスッキリとお片付け、「ステップ1:ココロの棚卸し」から始めていきましょう。
ステップ1:ココロのことば(内言)を”言葉”にしてみる
脳の「一時停止」を解く、整理の時間
キミが今、アタマが重くて動けないのは、脳のメモリが「正体のわからない”不安”」で占領されてしまっているから。この状態を、少し専門的な言葉で「内言(ないげん)」の解像度が低い状態と言い換えることができます。
実は人は、無意識のうちに頭の中で常に言葉を発し続けています(これが「内言」です)。悩みの中にいるとき、この内言は「モヤモヤした塊」のまま、頭の中をぐるぐると回り続けています。これでは、脳の「考えるスペース(思考域)」が「覚えておくこと(記憶域)」で埋め尽くされ、フリーズしてしまうのです。
※PCに例えて言えば、メモリ負荷が高すぎてCPUが動かない(画面がフリーズしている)状態です……って返って分かりづらいでしょうか笑?
だからこそ、まずはこれを「外に出す(外言化)」作業が必要です。 紙に書き出すことは、頭の中にある「内なる言葉」を外に取り出し(記憶、保存)、脳のメモリを空ける作業です。このとき、「日記」として正しく立派に「書く」必要はありません。
アタマの中の重荷を紙の上に移し替え、「脳を楽にしてあげる」イメージ……なので、チラシの裏やノートの片隅に、「言葉」にならないうちはペンでぐちゃぐちゃーっと”書き殴る”感覚でよく、なんだったら書いた紙は捨てちゃっても構いません(実はこれも、立派な「ストレス解消テクニック」です)。
親子DEインタビュー:「ペンを持たない」から始めてみる
とはいえ、アタマが「モーイヤ!」な時に、自分の力でペンを握って行動するのは、結構体力がいることです。できればぐてーっと”寝たまま”行うくらいがちょうどいい
…というキミへ!まずは、おうちの方に協力してもらう「インタビュー形式」から始めませんか?
保護者の方は、言葉を”そのまま”書き留める「インタビュワー」……超えて「書記」になってください。コツ(簡単な約束ごと)は以下のとおり
- 「なぜ?(Why)」は聞きません
- 「何が?(What)」や「どんな?(How)」「いつ(When)」「誰が(Who)」などを駆使しましょう
- ”まだ言葉になっていない思い”が出てくればいいので、整合性や深堀りは無用
- 「オノマトペ(擬音語・擬態語)」も大歓迎
オープニングクエッション:以下の3つのうち、答えやすいものだけでOK♪
- 「今の気分に『色』や『天気』をつけるなら?」 (言葉にならない感覚を形にする。解像度が低いままでも、まずは認識することが大切です)
- 「今日、パッと目が止まったものは何?」 (心が動いた先を確認する。憧れや嫉妬、興味のアンテナを探ります)
- 「今、ココロの中に何か『つぶやき』は聞こえる?」 (内側の声をそのまま拾う。脈絡がなくても構いません)
スガヤ編集長のメモ(ボクの体験から): ボクがムスコと日記をやっていた時、彼はよく「ダルい」と言いました。なので「そのダルさ、10点満点で言うと何点?」「”MAXダルい”と何が起こる?」「”ダルい食べ物”と言えば?」なんて問いかけを楽しんでいました。するとなんだかんだ返ってくるもので(7点、溶ける、「マーガリンパン」など)、彼の中にある「内なる言葉」が”呼び出され始めた”瞬間でした。
「ただの鏡」に徹する
代筆をするとき、保護者の方にぜひ大切にしてほしいことがあります。それは「判断をしない(Without Judgment)」という姿勢です。
キミが「今日は最悪だった」と言えば、そのまま「あちゃー…”最悪だった”と」と言って、ただ書く。「何もしたくない」と言えば、そのまま「はい、”何もしたくない”ですね」とやはり書いてしまいます。
ここで「そんなこと言わないで」「明日は良くなるよ」というアドバイスや期待は、一度お休みしましょう。”あなた”は「ただの鏡」です。言葉をそのまま映し出すことで、キミ(子ども)は初めて「自分の言葉を、自分自身で客観的に眺める」ことができるようになります。つまり「外言」として、取り出して客観視することで初めて、「あ、思うってこういうこと(かたち)」と正しく認識し、新しいスタートラインを引く(=考え始める)ことができるのです。
「なぜ?」という問いかけをお休みする理由を解説しておきますと……本来、「なぜ?」は考えを深めるために有効な問いですが、今のキミの頭の中に詰まっている「内言」は、まだ整理されていない”断片的なイメージの集まり”で、触ると壊れてしまうくらい”もろい”ものです。
そこにど真ん中ストレート!鋭い「なぜ?」を向けると、ココロを追い詰められたように逃げ出したり、誤魔化したくなってしまいます。「問い詰めの”なぜ”」とも言われますが、「なぜ」に秘められたプレッシャーを、今からしばらくは”封印”してしまいましょう。
代わりに、「そうなんだね」とそのまま(without Judgement)受け止める。この「ぼんやり安心」が感性を少しずつ回復させ、「言葉を楽しむ感覚」がむくむくと起き上がってくる……はずなのですが(どうでしょう?笑)
ステップ2:言葉を引き出し、選んでみる
どんどん言葉を引き出してみる
さあ、初回はどうでしたか?この後も”スグ日記!”と焦らず、引き続きインタビューを楽しんでいきましょう。
インタビュー項目は何でもいいですが……たとえば以下ではいかがでしょう?
- 何かキミの注意・関心を引くもの
- 何か思いついたり、言いたい、知ってもらいたいこと
- 最近の生活で気付いたこと、感じたこと
- 今の気分を感じて「何もかも大丈夫」と言えそうか?言えないなら、邪魔しているものは何か?
他にも、以前から興味があった、趣味や夢の話をキミから話してみてもよいです。ポイントは、強く「答えよう」と気張らず、アタマのなかに”パッ”と浮かんだ言葉やイメージを「ただ口に出す」ようにします。
インタビュワーは、そんな”本人さえ気づかないような小さな対象/気持ち”を、そのまま書き取ってあげましょう。もちろんこの時点で「もう自分でできそう!」というキミは、早くも手帳やノートを手にしてもOK♪
さて言葉があらかた出揃ってきたら、それらを振り返りつつ”挨拶”してみましょう?それは良いものですか?これからも一緒にいて良いですか?もし「もう付いてこないで!」なら、その場で消してしまいましょう。
「(明日以降も)付いてきても良い」なら、引き続き明日以降も「〇〇については、どう?」と”挨拶”を繰り返してみましょう。するとなかには、”もっと違う言葉”がよかったり、部分的には良いけど”何か違う”という感覚が出てくるはずです。そうやって「ぴったり」を探していき、「もうじゅうぶん」になったらおしまい。そうやって、出てきた好意的なものを、まずは十分に受け止め、味わってみましょう。
じゅうぶんに味わったら、今度は「似た別のもの」「もっと大きくする/増やすには?」「さらに純度高く磨くには?」などを、さらに考えてみるのですが…そうなってくるともう、「インタビュワー」は不要になってくるかもしれません。
そうなれば”準備完了”です。
これはキミの「リソース(よさ・変化)」を探るための準備運動で、もう少しいえばキミの「内側(内言)」にアクセスするための「フォーカシング」という方法(の一部※)でした。
※諸富祥彦「孤独であるためのレッスン(第五章)」を、スガヤ家(ボクとムスコ(※当時小4、不登校)のやりとり)流にアレンジしたものです。詳しく(正しく)は本著、またはアン・ワイザー・コーネル「優しいフォーカシング」を参照してみてください
こうなってくると……だんだん”それら”のことが、毎日気になってきませんか?そうなればしめたもので、だんだん手帳/ノートが手放せなくなってきます。あるいはどうしても「書くのは苦手!」というキミもいると思います(ムスコはそのタイプでした笑)。そんなときはママやパパに”代筆”をお願いしても良いし、デジタル機器に頼っても良い。
後にお話しますが、この脈絡のない「言葉」が、実は「事(こと)」の「端(は)」だったりするんです。なのでこのステップはとにかく「材料集め(落ち葉拾い)」に徹してみましょう!
というわけで、これにて今日の「日記」一日目終了♪おつかれさまでしたー
