不登校ブックガイド|こころの科学増刊 令和型不登校をあきらめない:「あきらめない」のは登校?それとも…

・書籍タイトル: こころの科学増刊 令和型不登校をあきらめない
・編者: 神村 栄一、稲垣 貴彦
・出版社: 日本評論社
・ご購入はこちらから: https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9334.html

・目次
はじめに 令和型不登校をあきらめない I 令和の子どもたちと不登校 ・令和型不登校の正体 ・助けを求められない子どもの理解と支援 ・つながりたい世代の生きづらさ II さまざまな支援のステージ ・「学校に行きたくなる」学校づくりを実現するポジティブ行動支援 ・パラドックスと小さな差異に注目する不登校支援 ・それでも学校復帰をめざす支援技術 ・令和型不登校と居場所づくり III 精神科医療の立場から ・令和型不登校に対して医療以外の現場ができること ・精神科医療が必要な不登校の子どもたち ・令和型不登校と神経発達症 IV 背景に目を向けるアプローチ ・小児科の診察室で出逢う不登校 ・トラウマによる症状を抱えた不登校事例への支援 ・ICT社会の中の不登校と学業不振 ・スクールソーシャルワーカーと令和型不登校

目次

「学校に戻す」ことだけが正解じゃない。「令和型」不登校にどう向き合うか?

「どうしてうちの子が」「いつになったら学校へ行けるのか」。終わりの見えないトンネルの中で、そう嘆きたくなる保護者の方は多いはずです。しかし、ここ数年で不登校の様相は劇的に変化しています。本書は、2024年8月に発行された、心理学・精神医学・教育学の最前線にいる専門家たちが集結したムック本です。 タイトルにある「あきらめない」という言葉。これは決して「無理やりにでも再登校させることをあきらめない」という意味ではありません。子どもが自分らしく生きることを、幸せになることを、そして学ぶことを「あきらめない」。そのために、大人は何を知り、どう変わるべきか。豊富なデータと臨床知見に基づき、「令和型」と呼ばれる新しい不登校の正体と、その支援のあり方を解き明かします。

ポイント: 「昭和・平成の常識」を捨て、多様な「自立」のルートを知る

本書の核心は、不登校を「子どもの心の問題」だけに矮小化せず、学校環境や社会の変化(ICT化、コロナ禍の影響など)とのミスマッチとして捉え直している点にあります。
・「令和型不登校」の正体: 以前と比べて不登校が急増した背景には、子どもたちが「学校の居心地の悪さ」に敏感になり、同時にネットなどの「学校以外の居場所」が充実してきたことがあります。もはや不登校は特別なことではなく、誰にでも起こりうる選択肢の一つとなっています。
・多様な「あきらめない」の形: 早期の学校復帰を目指す技術も紹介されていますが、それだけがゴールではありません。居場所を見つけること、ICTを活用して学ぶこと、医療と連携して心身の健康を取り戻すこと。それぞれの親子に合った「あきらめない」の形が提示されています。
・専門家による多角的な視点: 臨床心理士、精神科医、スクールソーシャルワーカー、小児科医など、異なる立場の専門家がそれぞれの視点で「今、何ができるか」を具体的に解説しています。発達特性やトラウマ、ゲーム依存といった現代的な課題への言及も豊富です。

この本について

・独自の視点
「不登校=解決すべき問題行動」という古いパラダイムから脱却し、不登校を「社会の変化に伴う必然的な現象」として冷静に分析しています。その上で、親や支援者が陥りやすい「焦り」や「思い込み」を解きほぐし、医学的・科学的な根拠に基づいたアプローチを提案している点が非常に頼もしい一冊です。

・相対評価
・評価軸の傾向(ポイント形式) 理論(抽象) ⇔ 方法(具体): 理論と方法のバランス型。最新のデータや理論的背景(なぜ増えているか)と、具体的な対応(どう接するか)の両方が学べます。
・ドライ(客観) ⇔ ウェット(感情): ドライ(客観)。専門家による分析が中心のため、感情論ではなく、冷静な事実と知見に基づいています。
・今すぐ(短期) ⇔ じっくり(長期): じっくり(長期)。目先の再登校テクニックよりも、子どもの人生全体を見据えた長期的な視点を養うのに適しています。
・当事者目線 ⇔ 支援者目線: 支援者(専門家・親)目線。先生やカウンセラー向けの内容も多いですが、保護者が読んでも「我が子の専門家」になるための知識が得られます。
・ポジティブ(肯定的) ⇔ ニュートラル(客観的): ニュートラル。不登校を美化も悲観もせず、ありのままの現象として捉えています。
・発達特性との関連度: 5。神経発達症(発達障害)やHSC、グレーゾーンに関する記述が非常に充実しており、特性のあるお子さんを持つ保護者には必読の内容です。

まとめ: 「正解」はないけれど、「道」はたくさんある

本書は、不登校に特効薬や唯一の正解がないことを教えてくれます。しかし同時に、絶望する必要もありません。学校に戻る道、別の場所で学ぶ道、まずは家でエネルギーを溜める道。たくさんの選択肢と、それを支える専門家たちがいることを知れば、親の肩の荷は少し軽くなるはずです。「あきらめない」とは、親が子どもを信じ続けること。そのための羅針盤となる、現代の不登校支援の決定版です。

ご購入はこちらから https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9334.html

スガヤのふせん ~個人的ブックマーク

編者の神村栄一先生は、冒頭でこう述べています。

不登校はその時代の、社会の価値観の影響を強く受ける。(中略)令和四年度以降に不登校となった中学生二人のうち一人、同じく不登校になった小学生五人のうち四人までは、もし一二年早く生まれていたら不登校になってはいなかった、のである

つまりお子さんが悪いわけでも、育て方が悪いわけでもない。「時代」と「環境」の摩擦の中に、たまたまお子さんが立っていただけなのです。

また本書の中で神村先生が提唱している「あきらめない」の語呂合わせがとても素敵だったので、ここでシェアしますと…

あ:温かく(自分にも子どもにも温かい言葉を)
き:聞いてみる(耳を傾ける、自分の声も聞く)
ら:来談もよし(専門家に頼る)
め:眼に入れる(視野を広げる、外の景色を見る)
ない:ナイト(夜)の過ごし方を点検する(睡眠と生活リズム)

特に「ない(ナイト)」の視点は盲点でしたw昼間の登校云々よりも、まずは夜しっかりと眠り、心身のエネルギーを回復させること。それが「自立」への遠回りのようで一番の近道なのかもしれません。

「学校復帰」はあきらめてもいい。でも、「子どもの幸せ」と「親自身の人生」はあきらめない。そんな力強いエールを受け取りました。専門的な内容も多いですが、辞書のように手元に置いて、迷った時にパラパラとめくりたい一冊です。

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