・書籍タイトル: だいじょぶだぁ~ 不登校・うつを経験した精神科医の読む薬
・著者: 平光源
・出版社: (出版社名)
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その症状は動物の本能。生き延びるため大切な能力
あなたは今、人生に行き詰まり、「死にたい」と思うほどつらい状況にいるかもしれません 。しかし、著者は精神科医としての長年の経験から、この「死にたい」という気持ちこそが、「生きたい」という生命の最初にして最強の「意志」であり「能力」であるという真理にたどり着きました 。
本書は、著者自身の3浪、うつ状態、地下鉄への飛び込み未遂という壮絶な経験 と、24年の精神科医としての臨床経験(延べ20万人以上の患者との対話)に基づき 、ネガティブな感情に支配された心を解放するための「思考のコツ」を提供しています。あなたのつらい状況を「物語の最大の山場」と捉え直し、人生を前に進めるための具体的なヒントが得られるでしょう 。
ポイント:ネガティブ感情の「生命の意志」の錯覚
著者は、ネガティブな感情に囚われるメカニズムを、「生命の意志」へのリフレーミングとして解説します。
- 身体感覚と本能: 人間は35億年前の単細胞生物から「心地よい環境にとどまれ」「不快な環境から去れ」という「生命の意志」をDNAに受け継いでいます 。
- 思考の錯覚: 私たちが「死にたい」と考えるのは、この本能的な脳(大脳辺縁系)が発する「不快な環境から去れ!」というメッセージを、表面の考える脳(大脳新皮質)が「生きていても不快だから死んだほうがいいんだ」と誤って解釈(錯覚)してしまうためです 。
- 絶望は感情: 絶望や怒り、不信といったネガティブな感情は、「事実」ではなく、ただの「感情」であり、自分の思考によって作られているにすぎません 。この錯覚に気づき、感情と事実を切り分けることで、心は一気にラクになります 。
解決の技術:コインの裏返しと「やれること」への着目
本書は、ネガティブな思考を断ち切り、前向きな行動へ繋げるための具体的な技術を提供します。
- 短所は長所の裏返し: 自分の「欠点」を見つけ、それをひっくり返して「長所」を見つける「コインの裏返し」の思考法を推奨しています 。例えば、「気が弱い」は「繊細で優しい」、「人の顔色を気にする」は「相手を思いやる気持ちが強い証拠」とリフレーミングします 。
- 「やりたい未来」への接続: やりたくない受験勉強も、「医者になりたい」という自分の夢を実現するための「手段」だと心に据えることで、嫌でも頑張れる力が湧いてきます 。やりたくないことをやれる能力は、やがてやりたい未来につながっていくのです 。
- 過去の闇は宝物: 過去の失敗や暗闇は、決して消すべきものではなく、あなたの人生を光に変える大切な宝物であると捉え直します 。過去の失敗を正直に話すことで、周りの人が感動し、最高の職場になることもあります 。
- 期待の放棄: 人間関係の悩みに対しては「人に期待しないこと」をモットーとします 。期待は自分の理想を相手に押し付けることであり、期待をしないことで裏切られると感じることが減り、結果的に相手を信じられるようになります 。
この本について
・独自の観点
書籍の強みは、精神医学的権威と当事者経験を融合させ、ネガティブな感情を肯定的な「生命のエネルギー」として捉え直す点です。
・相対評価
- 理論(抽象) ⇔ 方法(具体): 両立。脳科学、進化論といった理論を基盤としつつ、思考を変える具体的な「処方箋」を提供します。
- ドライ(客観) ⇔ ウェット(感情): ウェット(感情)。著者自身の深い経験(3浪、うつ)を語り、読者に寄り添い共感性が非常に高いです。
- 今すぐ(短期) ⇔ じっくり(長期): 短期・長期の両側面。「今、ここ」の絶望を打破する即効性がありつつ、人生全体を「物語」として捉える長期的な視点も持っています。
- 当事者目線 ⇔ 支援者目線: 両者の融合。当事者経験を持つ精神科医という立場で、保護者や患者に「だいじょぶだぁ」という安心感を注入します。
- ポジティブ(肯定的) ⇔ ニュートラル(客観的): ポジティブ(肯定的)。ネガティブな状態を「生きる意志の表れ」として肯定的にリフレーミングします。
- 発達特性との関連度: 3。ADHDの特性(原始時代の狩人の能力)を肯定的に捉え、その特性を活かす方法に言及しています 。
まとめ:あなたの人生は、あなたの物語
本書は、私たちを苦しめる「死にたい」という衝動が、実は「生きろ!」という太古からの叫びの錯覚であるという、根本的な視点の転換を提供します。
親は、子どもが「朝起きられない」「やる気がない」といった問題に直面したとき、それを単なる怠惰とせず、「生命が不快な環境から去ろうとしているSOS」であると理解し、その逃げたい気持ちを肯定することが重要です。この肯定こそが、子どもが自ら「新しい物語」を書き始め、絶望という感情を乗り越える力となります 。
あなた自身の過去の闇もまた、他人には生きられない「あなたの物語」という宝物です 。その物語を活かし、他人の顔色や評価に振り回されずに、「自分の人生を思いっ切り生き切る」こと。これが、困難な時代を生き抜くための最良の薬となるでしょう 。
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スガヤのふせん ~個人的ブックマーク
まず、タイトルが「だいじょうぶだぁ~」です。「だいじょうぶ」でも「大丈夫だ」でもなく「だいじょうぶだぁ」でもなく(しつこいですねw)
帯には「今すぐ「逃げたい」「消えたい」あなたへ」と呼びかけているのですが、そんな人に向けて「だいじょうぶだぁ~」なのです。この「~」には理由がある
他人の顔色なんて、うかがわなくて大丈夫ですよ。なぜなら、他人は他人で自分の物語を書くのに夢中で、残念ながらあなたのことをあんまり気にしていないから。
他人と自分の物語で、どちらが正しい物語なのかも迷わないでくださいね。なぜなら、お互いが、自分が正義のヒーローの物語を書いているので、物語の数だけ正義のヒーローがいるだけの話なのです。
あなたのつらい今のこの瞬間は、ヒーローズ・ジャーニー的には最大の山場、メチャクチャ盛り上がる変化の大チャンスです。
考え方をちょっとだけ変えて、たった1ミリだけでいいので、物語をよい方にに書き換えていきましょう。(「おわりに」より)
この「たった1ミリ」の感覚がきっと、「だいじょうぶだぁ”~”」なんです。切羽詰まっていると、この1ミリが入ってこない。でも息を大きく吸って吐けばぁ~ …きっと物語が少しだけよい方につながってくる…のかもしれません。
休みたかったら休んでもいいし、その不快な場所から逃げ得たかったら、逃げていい。生きているだけで十分素晴らしいんですよ。本当はただそれだけで、あなたの命は喜んでいるんです(「はじめに」より)
処方箋にいわく、「勝ち負けにこだわらず、自分の幸せにこだわる」。
「逃げたい」「消えたい」と思ったら、実際「だいじょうぶだぁ~」とつぶやき、改めて思い出してみましょう。くれぐれも、語尾は伸ばします(しつこいですが、重要です)


