ボク(スガヤ編集長)はこちらで述べた通り、勤務形態が「フルリモート」だったからこそ、ムスコの不登校と3年間ほぼ”完走”できました。一方でリモートでなく勤務が極めて限定的で、物理・精神的にも子どもと分断されやすい場合、「寄り添い度」は違ってきますね。
しかし昭和平成ならともかく、世は「令和」です。令和にはオンライン環境が十分整備されていて、また「AI」など最新技術もあります。そこで敢えて大胆にも、「令和の不登校とは”オンラインの活用次第”」と結論したうえで、その方策を解説していきます
前提:不登校における保護者の”離転職”率は2割
まず前提として、上記「勤務形態」についての”データ(ファクト)”を参照します。仮に「不登校」という事象が家庭内で発生した際、その影響は子どもの教育環境のみならず、保護者のキャリア(働き方、仕事)にまで及びます。
最新の調査によれば、不登校の子を持つ保護者の約2割(21.3%)※が、不登校をきっかけに「離職・転職」を経験していることが明らかになっています。
※SOZOW「不登校と保護者のキャリアに関する実態調査」(2024/10)、対象: 小中学生の不登校の子を持つ保護者(有効回答数 485件)
この「2割」という数字の背後には、子どもの学齢や発達段階に応じた、構造的な「働きづらさ(就労阻害要因)」が存在します。
なぜ子の不登校で保護者が働きづらくなるか?
もはや解説するまでも無いようですが……改めて「小学校低学年(特に困難)」とそれ以上で状況を整理してみます(それぞれ体験談がベースです)。
小学校低学年層における「物理的拘束」の問題
小学校低学年での不登校の場合、最大の課題(ボトルネック)は「安全確保のための付き添い」です。
- 留守番の困難性: 児童を一人で自宅に残すことが困難なため、保護者の外出が物理的に制限されます。
- 付随業務の発生: 「母子登校」や放課後等デイサービスへの送迎といった突発的なタスクが発生し、固定時間の勤務維持を阻害します。 結果として、本人の就労意欲に関わらず、勤務形態の維持ができなくなり離職を選択せざるを得ないケースが目立ちます。
高学年以上における「精神的・経済的ストレス(ジレンマ)」
子どもがある程度の自立(留守番等)が可能になったとしても、別の課題が浮上します。
- 生産性の低下: 外出先での勤務中も、自宅の子どもの状態や将来の進路(通信制高校等)への不安が常時リソースを占有し、業務効率を低下させる要因となります。
- 経済的コストの増大: 教育費用の負担が増す一方で、子どもの孤立を防ぐために長時間労働を避けなければならないという、経済的合理性の不一致が生じます。
これまでの働き方(既存システム)との「ミスマッチ」
こうした「2割」に及ぶ離転職の実態は、個人の問題というよりも、従来の「場所と時間を固定する働き方」が、不登校という不確定要素を含む家庭のリソース配分と適合していないことを示唆しています。
しかし”希望”はあると思うのです。これまで昭和・平成型の就労モデルでは、不登校を「家庭内の不備」として処理(自己責任化)してきましたが、令和においては、オンラインやAIといった技術を前提とした「システムの再構築(デバッグ)」により、就労とケアの両立を試みる段階に入っています。
これこそボクが、「令和の不登校とは”オンラインの活用次第”」と結論する理由です。
「タイプ別」に見た、「不登校(仕事/子ども)」での課題
ではこのとき、読者の皆様に問いかけたいのは「普段からIT(AI)、使ってますか?また十分理解できてますか?」というところです(いかがでしょうか?)
カンタンに「タイプ別」にすると、ざっとこんな感じではないでしょうか?

このとき各タイプでは、不登校をうけ「転職のしやすさ」と「子どもの”IT(ゲーム/SNS含む)利活用”(および許容度)も大きく違ってきます。具体的に関連付けて見ていくと…
【「IT(AI)活用 x ”不登校”との関連】
A:「サポートスタッフ」タイプ
・仕事との関係: 「仕事は会社でするもの」という固定観念が強く、リモートワークへの移行や転職に心理的なブレーキがかかりやすい状態です。今の仕事を無理に維持しようとして、子どものケアとの板挟みになり、限界まで「持ち帰り仕事」などで対応しようと摩耗しがちかもしれません。
・子どものIT利活用への許容: ITを「単なる道具」と見ているため、子どもがゲームやSNSに没頭することを「時間の浪費」と捉えやすい傾向があります。「自分はこんなに苦労してIT(仕事)に向き合っているのに」という対比から、子どもの活動を否定的に見てしまい、家庭内の緊張感が高まるリスクがあります。
B:「パートナー」タイプ
・仕事との関係: ITによる「場所を選ばない働き方」の価値を理解しているため、不登校を機にフルリモート職へ舵を切ったり、自律的な副業を始めたりすることへの抵抗が最も少ない層です。「今の生活に合わせて働き方を変える」というデバッグ(再構築)を柔軟に行えます。
・子どものIT利活用への許容: 自身もITの恩恵を享受しているため、子どものデジタル活動に対しても「新しい学びや居場所の形」として肯定的に捉えることができます。ITを共通言語として、親子でクリエイティブな活動に取り組むなど、不登校を前向きな「OSアップデート」の機会に変えられる強みがあります。
C:「知人以上、友だち未満」タイプ
・仕事との関係: オンライン活用の可能性を知っている分、今の働き方に限界を感じつつも、「自分にそのスキルがあるのか」と足踏みしています。転職サイトを眺めては「未経験」の文字に怯え、行動に移せないまま時間だけが過ぎていく焦燥感を抱えやすい状態です。
・子どものIT利活用への許容: デジタルが子どもの救いになる可能性は理解していますが、依存への不安も捨てきれず、許容と制限の間で揺れ動いています。子どものIT活用を「才能」に変えるための具体的な導き方が分からず、見守る側としても中途半端なストレスを感じがちです。
D:「人間重視」タイプ
・仕事との関係: 対面でのコミュニケーションに価値を置くため、在宅ワークやIT転職を選択肢から外してしまいがちです。結果として、子どものそばにいるために「キャリアを完全に断絶(離職)」するか、無理をして「外に働きに出る」かの二択になり、経済的・物理的に最も追い詰められやすい傾向にあります。
・子どものIT利活用への許容: 「ネットの世界は虚構」という不信感が根強く、不登校児がデジタルに没頭することを、社会からの逃避や堕落と結びつけて強く不安視します。この価値観のズレが、学校に行けない子どもにとって「家も安心できない場所」にしてしまうという、コミュニケーションのバグを引き起こす恐れがあります。
もちろん「どれが良い」という話ではありませんが、こと「AI」の進化と浸透はもはや”不可避(避けられない)”流れであり、仕事でも利用が推奨されやすいでしょう(使いこなすほど、重用されやすい)。一方で令和キッズにとって、もはや「ゲーム・SNS・AI」はもはや「三種の神器」とも言える、”パートナー的存在”です。ことSNSは国(オーストラリアなど)や地域で制限される事例もありますが(ボクも個人的には否定的です)、一方で「知らない/関わらない」では生きていけないほど、非常に生活に密着しています。
だとしてボクたちはどのように、こと”不登校下で”IT/AIと付き合っていくのがよいでしょうか?同じくタイプ別に、「体験談」を踏まえて解説しますね。
タイプ別:IT(AI)と不登校の付き合い方と”その後”
以下、タイプx体験談別に……そしてややお節介なボクのコメントを交えて掘り下げていきます。
【実録:4つのタイプ別・不登校ママの「IT奮闘記」】
D:「人間重視」タイプ(未使用 × 否定的)
→事例:「デジタル・デトックス」が招いた”沈黙”
「ネットばかりしているから学校に行けないんだ」と信じていたTさん(中1男子の母)。 彼女は意を決して、ゲーム機とスマホを没収し、Wi-Fiも解約。「暇になれば外に出るだろう」というアナログ回帰の荒療治に出ました。
→その後(※要注意です) しかし、Tさんが望んだ結果とは”真逆(裏目)”となりました。息子さんは部屋から一歩も出なくなり、親との会話も完全に拒絶。 実は彼にとって、オンラインゲームだけが「友人(学校以外の”社会”)と繋がれる唯一の場所」だったのです。それを親に一方的に断ち切られたことで、彼は社会との接点を完全に失い孤立、またその原因を作った親とも”対立関係”になってしまいました。 「命綱を切ってしまった」とTさんが気づいた時には、信頼関係の修復に膨大な時間が必要になっていました。これは、令和の不登校において最も避けたいケースです。
>ゲーム機とスマホを没収し、Wi-Fiも解約
割と大げさに聞こえるかもしれませんが…これを”推奨(いわく「不登校の長期化はデジタル機器が原因です!」)”する専門家もいますし、実は当「ブックガイド」で紹介した書籍の中にも複数言及がありました。
ただし※個人的にはオススメしません※。なぜなら「デジタル機器」如何より、最もやってはならいと思うのが「子どもの意志/希望の拒絶」だからです。この辺り違和感がある方はぜひ「不登校の基礎知識」コーナーをご一読ください。
■A:「サポートスタッフ」タイプ(使用中 × 否定的)
→事例:「私の仕事は『善』、子どものゲームは『悪』なの?」
都内で事務職のリモートワークをしていたSさん(小4男子の母)。 彼女は、「私がデジタル機器に向かうのは生活費を稼ぐため(善)。でも子どもは”ただの現実逃避(悪)”」という、二律背反を抱えるように。いわく 「自分はこんなにキーボード叩いて頑張ってるのに!」と、背後で聞こえるゲームの電子音にイライラし、ついには無理やり外に追い出したり、Wi-Fiの電源を抜いて大喧嘩になったことも。
→転機 そんなある日、息子のゲームでの通話を偶然耳にします。息子が「そこは危ないから僕が…ナイス!さっすがー」など、友人を助けたり励まし合う姿でした。 「あ、この子は部屋に引きこもっているようで、画面の向こうで誰かと『協力』して『社会(別の現実)』を作っているんだ」 そう気づいた瞬間、彼女の中で「子どものゲーム=現実逃避」という呪縛が解け、「お互い、画面の中で頑張ってるのね」と、息子の背中を認められるようになったそうです。
昭和では、友達関係は「空き地(外)」など外部で育まれるという認識が”普通”でした。しかし令和では「デジタル」が基本です。なんならSさん宅のように、無理やり追い出された子どもたちが大勢、空き地でゲームをやってますね 笑。
親にはわからない子どもたちの「社会」が存在し、なかで「別の育ち方」をしているのだ、と視点を変えることで、ぐっと彼らの行動が理解でき、また共感的になれるものです。
■C:「知人以上、友だち未満」タイプ(未使用 × 肯定的)
→事例:「見る専」からの卒業。AIに「夕飯」を丸投げしてみた
「ITスキルなんて私にはない」となかば自分を”卑下”していた、当時のMさん(中2女子の母)。 子どもが不登校になり、「毎日3食」の献立を考えることに限界を感じていました。一方、SNSでキラキラした(? ※本人談)不登校支援の情報を見るたび、「私は何もできていない」と落ち込む日々。
→転機 「もう何も考えたくない」と、半ばヤケクソでスマホのAIに(音声で)「豚肉とキャベツ。包丁使わない。調味料3つまで」と打ち込みました。 するとAIは、包丁いらずのレシピ(「豚キャベツのポン酢蒸し」だったそうです 笑)と共に「毎日お疲れ様です。手でちぎれるキャベツは便利ですよね」と返答。Mさんはその一言に感動し、「機械相手に癒やされるなんて」と衝撃を受けました。それ以来、彼女は「完璧な母」を目指すのをやめ、AIを「愚痴も言える家事パートナー」として”使い倒す”ように。そしてそんな姿を見た娘さんも、なんとAIとの会話に参加するようになり、これを機に家庭で少しずつ会話量が増えていったそうです。
ある調査によれば、AI利活用は女性>男性、かつ”家事育児”で使われるケースが多いのだとか。Mさんはまさにそんなケースで、なんとその後彼女は職場で”AIを利用した”ママ向けのアイデアを企画されたんだとか
こと「IT」と言えばやや男性的?なイメージもあったかもしれません。ですが「AI」はどちらかと言えば女性、こと「ママの味方」です。拒否せず積極的に、なんなら”家族を代表して”使い倒してみては?
■B:「パートナー」タイプ(使用中 × 肯定的)
→事例:リビングが「親子コワーキングスペース」に変わった日
元々新しいもの好きなSさん(小4男子の父)。 ムスコが不登校になり、ずっと家にいて暇そうです。Sさんは叱りたしなめるではなく「今度仕事で子供向けYoutube番組作るんだけど、代わりにやってくれない?」と、ムスコに無茶振りしてみました。
→転機 ムスコは最初こそ拒絶!さらにしばらくは面倒くさがってやりませんでしたが、ある日子どもが集まった際にはとうとう意を決して(また”知ったか”を結集して)「プロデューサー」に立候補。以降リビングは、彼らの「コワーキングスペース」となりました。自分の得意分野を親に頼られることで、「学校には行けないけど、自分には価値があるし、なんなら仕事だってできる!」という自信を取り戻していきました。 今ではSさんが仕事をする横で、ムスコがプログラミングを進めるという「親子コワーキング」が日常に。「学校の話はしないけど、アプリやゲームの話で毎日盛り上がっています」と笑うSさんは、不登校を「親子で新しいスキルを身につける期間」と再定義できています。
非常に図々しいのですが…これがスガヤ家の実態でした 笑。デメリットと言えば「うるさすぎる」ことで、時に父(ボク)が家を追い出されることも。ただこれを機に子どもは「プログラミング思考」を得意とするようになり、またこのときの”ものづくり体験”は、今でも彼の「自分らしさ(自信)」の根底になっているように見えます。
残念ながら彼らの作品は当職では採用できませんでしたが笑、一方で彼らの目の輝きざまを目の当たりにしたボクは、改めて「デジタルの可能性」に着目し、こうして記事を作成しているわけです(これもひとつのキャリアアップ)
まとめ:タイプ別・不登校 x ITの「今日から効き始める処方箋」
ではまとめとして、最後にもう一度、各タイプの方が今日から始められる、ITを味方につけるための「小さなアクション集(処方箋)」を整理しておきます。無理せず、今のあなたに「効きそう」なものからひとつだけ、試してみてください(「Learning by Doing(実践による学び)」こそが、次世代「クリエイティブラーニング」の要点です)。
一方でこれらは「継続効果(複利)」がありますから、続けられるようならひとつと限らず複数でも、そしてできるだけ毎日食らいついて”使い倒す”ように実践し続けてみましょう。きっとその先に、「あなた独自の活用術」が生まれるはずです。
【今日から効き始める「不登校xITの処方箋」】
まず D:「人間重視」タイプの方へ
→ 処方箋:キーボードを捨てて「音声入力」
IT(AI)を敵視せず、しかし人間のように扱います。まずはスマホの「マイクボタン」を押して、”話しかけ”てみてください。画面を見なくても、あなたの声で検索やメモができます。「機械に使われる」のではなく「秘書に指示を出す」感覚を掴むことが、デジタルアレルギーを治す第一歩です。なんならその際の指示として「友だちみたいに話して」と加えると、より”人間らしいコミュニケーション”が楽しめるはずです。
次に、A:「サポートスタッフ」タイプの方へ
→ 処方箋:AIへの「秘密の愚痴」タイム
イライラしたら、子どもに当たる前にAIチャットに「もう疲れた!褒めて!」と書き殴ってみましょう。AIは否定しません。心のガス抜きをデジタルに任せることで、リアルな親子関係の平和が守られます。一方で「こういうことで疲れた」と詳しく話してみれば、AI”カウンセラー”が分析して、「次からどのようにすればよいか?」までアドバイスしてくれます。「所詮AI」と思われるかもしれませんが、彼らが踏まえているのは「これまで人間が築きあげてきた叡智の結晶(=結集知)」であることは、間違いありません。
そして C:「知人以上」タイプの方へ
→処方箋:”意識高い系”をあきらめAIに頼ってみる
Mさんのように、家事や献立、PTAの挨拶文など「面倒&やりたくないこと」から、AIに”丸投げ”してみませんか?「楽していいんだ」という許可を自分に出すこと。それが、ITを「相棒」に変え、”手抜き”できる最短ルートです。完璧&理想主義であるほど「人間(親)が”手をかける”べき」など考えがちかもしれませんが、手の空いた時間で代わりにできるのは、もっとも人間らしくまた親でないとできない、「親子のふれあい」だったりします。
最後に B:「パートナー」タイプの方へ
→処方箋:子どもへの「逆質問」
ここまで来たら、子どもを「先生」にしちゃいましょう。「親→子ども→AI」に依頼するのです。「このアプリの使い方教えて?」「AIは何と言っている?」と聞くことで、親の「管理」を手放し、対等な「共創」関係へ。一方で子どもも自主自発的に、しかも正しい(求められる)使い方で、AIを使いこなすようになるでしょう。リビングが楽しい職場になる日も近いです。
令和の不登校は、親ひとりで抱え込むには重すぎまし、IT/AIを使いこなせば案外軽やかです。 ITやAIという「文句を言わないパートナー」を、徹底的に使い倒してらくしてしまいましょう。それが、あなた自身の生活を守る「自律」に繋がり、ひいては家族の笑顔を守る「最強の防具」になるはずです。
さて次回は、親自身のキャリアをどうするか?について考えていきます。
