不登校ブックガイド|パパのトリセツ:性能を活かし「パパロボット」を上手に使いこなして、子に見せる”よきロールモデル”に

ディスカヴァー・トゥエンティワン...
パパのトリセツ2.0 「夫婦で協力して子育てしようって話だったはずなのに、ちょっとイメージと違った」みたいなかすかなストレスを感じているママや、そうなることを未然に防ぎたいママたちに...

・書籍タイトル: パパのトリセツ
・著者: おおたとしまさ
・出版社: ディスカヴァー
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目次

パパは「高性能全自動育児ロボット」

「妻の仕事に、家事に、育児に、そのうえ大っきな子ども『パパ』のお世話まで」。この本は、多忙なママに向けて、パパという生き物を「高性能全自動育児ロボット(パパロボット)」にたとえ、その仕組みや上手な扱い方を説明する異色の育児・夫婦関係のガイドです。

不登校支援の現場では、「母子密着・父不在」という家庭内の構造的な問題がしばしば指摘されます。著者は、パパが育児に非協力的であるのは、愛情がないからではなく、パパというロボットの「起動方法」が間違っているからだと分析します。本書は、ユーモアを交えながら、父親が自発的に育児に参加し、不登校の子どもの精神的な支えとなるための、具体的な「取扱い説明書」を提供しています。

ポイント: パパロボットの起動と「自発性」の引き出し

パパは、全自動洗濯機やお掃除ロボットのように、必ずしも命令どおりには動きません。ママが「〜しなさい」と命令するのではなく、パパの「自発性」を引き出すための、具体的なアプローチが本書の核心です。

  • パパの特性(トリセツ): パパには、「PAPA BRAIN(妻の指示がないと動かない)」「PAPA ANTENNA(家で何をしていいか分からない)」といった特性があり、そのせいで自発的な育児参加が難しいと説明されます。
  • 起動の技術: パパを動かすには、「褒めて、ねぎらう」「感謝を伝える」ことが最も重要です。パパロボットは、ポジティブな感情に最も強く反応します。
  • 対話のコツ: 夫婦関係においては、感情的になる前に「夫婦で向き合う時間」を確保し、冷静に「パパの言うこと」と「ママの言うこと」を分けて聴くことが大切です。パパの意見を否定するのではなく、まず「そうなんだね」と受け止めることで、パパも安心して本音を語り、家庭内のコミュニケーションが改善されます。
  • パパを見て育つ: 父親が育児や家事に積極的に関わることで、子どもは自立するためのモデルを得ることができます。

この本について

・独自の観点

本書の強みは、硬くなりがちな育児論や夫婦論を、「パパロボット」というユーモラスな比喩で表現することで、親が抱える焦りや深刻な雰囲気を和らげ、実践へのハードルを下げている点にあります。

・相対評価

  • 理論(抽象) ⇔ 方法(具体): 方法(具体)に特化。パパを動かすための褒め方、依頼の仕方、夫婦間の役割分担など、具体的なコミュニケーション技術を解説しています。
  • ドライ(客観) ⇔ ウェット(感情): ニュートラル。パパの行動を客観的な「しくみ」として捉えつつ、夫婦や親子の感情的なすれ違いを解消することを目指します。
  • 今すぐ(短期) ⇔ じっくり(長期): 短期・長期の両側面。すぐに使える「褒め方」を教えつつ、夫婦関係の再構築という長期的な課題にも触れています。
  • 当事者目線 ⇔ 支援者目線: 支援者目線に特化。主に「ママ」が「パパ」を操縦・育成するという視点で書かれていますが、その目的は家庭全体の子どもの自立を促すことです。
  • ポジティブ(肯定的) ⇔ ニュートラル(客観的): ポジティブ(肯定的)。パパのネガティブな行動(非協力)を「欠陥」ではなく「トリセツ」の範疇と捉え直し、肯定的に関わることを推奨します。
  • 発達特性との関連度: 0。不登校や発達特性自体を直接的に扱うものではありません

まとめ: ”パパの起動”が、子どもの自立を促す

不登校問題において、父親の関与は子どもの「社会性」と「自立」に大きく影響します。本書は、夫の行動にイライラする「ママ」に対し、そのイライラのエネルギーを「パパを育てるエネルギー」に変換することを促します。

パパが育児に参加することは、子どもにとって「社会へ出ていくモデル」を得ることに繋がります。親が「パパに任せる」という覚悟と「褒めて、ねぎらう」という技術を持つことで、家庭内のコミュニケーションが改善され、結果として子どもが安心して自立へ向かうための土台が築かれるでしょう。

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スガヤのふせん ~個人的ブックマーク

帯に「パパは読まないでください!」とありますwが、実際に「パパの耳の痛いこと」を上手に取り扱い、ポジティブな家庭用ロボット…もといエネルギーとして活用していく具体的な方法が様々語られています。

こと「不登校」に特化した書籍ではありませんが、パパが(ポンコツながらも)上手く凹凸を生かしながら育児や家事に積極的に関わることで、子どもは”別の役割”としてもロールモデルのイメージを得ることができるでしょう(もしかしたら「自分(子ども)のほうがマシだ!」と思ってもらえるのかもしれませんw)

また本著に紹介される「上手な夫婦ゲンカの心得」から、ケンカの仕方を学ぶのかも知れません。こと「夫婦ゲンカは子どもに見せない」のが指南書の王道?かもしれませんが、本著では

「上手な夫婦ゲンカ」なら見せてもよいのではないかと思います。いや、むしろどんどん見せたほうがいい。「上手な夫婦ゲンカ」を目の当たりにすることで、子どもは多くの大切なことを学ぶことができるからです。まず、上手なケンカの作法、仲直りの技術というお手本を目の当たりにすることができます。…そして、パパとママのやりとりを見て、子どもは「人はそれぞれ違う考えを持っていていいんだ。人は違いを認め合い、尊重することだってできるんだ」ということを学ぶはずです。(「夫婦ゲンカを子どもに見せよう!」より)

と解釈されています。確かに社会的に「ケンカの仕方」や「実践編」を指南してくれるところはなかなかありませんから、いきなり巻き込まれてビックリ!…の前に、目の当たりにしておくことで少しずつ慣れていけるのかもしれません

ただしあくまで「上手な」ケンカ前提です。当指南書はあくまで「応用例」ということで、ケンカはくれぐれも控えめに…でありたいところです。

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