・書籍タイトル: 決定版 これでわかる不登校
・著者: 小野寺 和也 / 小野寺 敦子
・出版社: 成美堂出版
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不登校の「地図」となる教科書(決定版)
子どもが突然学校に行かなくなったとき、親は「出口のないトンネル」に迷い込んだような錯覚に陥ります。
今がどんな状態で、これからどうなるのか、何をすればいいのかが全く見えないからです。 本書は、臨床心理士である父娘(小野寺和也氏・敦子氏)が、長年のカウンセリング経験と心理学の知見に基づき、不登校のメカニズムから回復への道筋までを体系的に整理した、まさに「教科書」とも呼べる一冊です。 感情論や精神論ではなく、医学的・心理学的な根拠に基づいて「今、子どもに何が起きているか」を冷静に解説してくれるため、パニックに陥りがちな初期の保護者に、最初の手がかりとなる「地図」を与えてくれます。
ポイント: 回復の「5つの段階」と「待つ」ことの真意
本書の核心は、不登校という現象を静的な「状態」ではなく、時間経過とともに変化する「プロセス」として捉え、それぞれの時期に親がすべきことを明確化している点にあります。
・回復の5段階プロセス: 本書では、不登校の経過を「前兆期」「開始期(急性期)」「引きこもり期(慢性期)」「回復期」「再登校(復帰)期」の5つに分類しています。この分類により、親は「今は休ませるべき時期」「今は背中を押してもいい時期」といった判断基準を持つことができ、不適切なタイミングでの登校刺激(焦りによる失敗)を防ぐことができます。
・「待つ」とは「信じる」こと: 不登校支援でよく言われる「待つ」という言葉。本書では、これを単なる「放置」と明確に区別しています。待つとは、何もしないことではなく、「子どもの成長する力を信じ、その時が来るのを期待して、楽しみにして待つ」という、親の能動的な心的態度であると定義しています。
・自己肯定感の再構築: 不登校の子どもは、「学校に行けない自分はダメだ」という強い自己否定感を持っています。回復のためには、学校に行く・行かないに関わらず、親が子どもの存在そのものを認め、家庭を「安心できる居場所」にすることが最優先であると説きます。
この本について
・独自の視点
書籍の強みは、父娘という二世代の臨床心理士による共著である点です。ベテランの知見と最新の心理学が融合し、親の不安に寄り添いつつも、専門家としての客観的で具体的なアドバイス(登校しぶりへの対応、生活リズムの整え方など)が網羅されています。
・相対評価
・評価軸の傾向(ポイント形式) 理論(抽象) ⇔ 方法(具体): 両立。不登校の心理メカニズム(理論)と、段階別の対応法(具体)がバランスよく記述されています。 ・ドライ(客観) ⇔ ウェット(感情): ニュートラル。親のつらさに共感しつつも、解決に向けた冷静な視点を崩しません。
・今すぐ(短期) ⇔ じっくり(長期): 長期。回復を「段階」で捉えるため、長期的な見通しを持って取り組むことを推奨します。
・当事者目線 ⇔ 支援者目線: 支援者目線。親や教師が「どうサポートするか」という視点で書かれています。
・ポジティブ(肯定的) ⇔ ニュートラル(客観的): ニュートラル。不登校を否定も肯定もせず、「誰にでも起こりうる、乗り越えられる課題」として扱います。
・発達特性との関連度: 3。不登校の背景にある発達障害や起立性調節障害などの医学的要因についても、基礎的な知識として触れられています。
まとめ: 「混乱」から「見通し」へ、親の心を整える一冊
本書は、不登校の渦中にある保護者に対し、「先が見えない不安」を解消するための羅針盤となります。 「今はどの段階にいるのか」を知るだけで、親の焦りは驚くほど軽減されます。焦りが消えれば、子どもを追い詰める言動が減り、結果として回復への近道となります。 不登校支援の「基礎知識」を網羅した本書は、学校やカウンセラーと連携する際の共通言語としても役立つ、家庭に一冊置いておきたい基本書です。
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スガヤのふせん ~個人的ブックマーク
不登校の保護者が最も苦しむのが、「いつまで待てばいいの?」「ただ待っているだけでいいの?」という葛藤です。この本は、その「待つ」という行為の解像度を上げてくれます。 「待つということは、子どもの成長する力を信じて、その時が来るのを期待して、楽しみにして待つということです」 「不登校は、子どもが自分自身を取り戻すための、あがきであり、戦いでもあります」
「待つ」という言葉の解像度をあげるならば、「我慢」ではなく子どもが自ら育とうとする力を「信じる」という、親からの最大のエールであり祈りなんですね。植物が冬に根を伸ばすように、見えない土の中で子どもは必死に自分を作っている。そう思えれば日々の「見守り」にも、少し違った温かさが宿る気がします。
そう考えれば「大丈夫!」も確信に変わってくるわけで
◆親から受け取る「大丈夫!」で子どもは自分への信頼を取り戻す
…居場所とは、「大丈夫!」を受け取って自分への信頼を作り出す場なのだと思うのです。その中でも、親からの「大丈夫!」は特に重要な意味を持っています。子どもはいつでも親に認められたいという想いを持っています。子どもをいちばん身近な立場で親身に支える、親からの「大丈夫!」は、子どもにとって一番大切な居場所につながるのだと思います。(P.139より)
改めて温かいイラストとメッセージに満ち溢れた本著が、その道のりを応援してくれるような気持ちになるのです。大丈夫!

