不登校のサイン・予兆のチェックリスト。具体例・年齢別の違い・保護者にできることは?

「今日は学校には行きたくない」

もしも、お子さまがそんな言葉を口にしたら、みなさんはどう受け止めますか?
その一言は、気分や一時的なものではなく、不登校の始まりを告げるサインであることがあります。
そして、お子さまの不登校は突然訪れることもあれば、日々の小さな変化の積み重ねによって表面化することもあります。

この記事では、教科書的なチェックリストだけでなく、「元不登校」だったすたっふ(スミレ、ぜりー、まる)「2児の不登校を見守った母 ※メインライター」「3万人と対話した編集長」の実体験コラムを交えて、「本当に注意すべき小さなサイン」を深掘り解説します。

[この記事のメインライター] いと(2児不登校のママ)
息子の不登校から4年後、娘も中1でいじめをきっかけに完全不登校に。焦りから無理に登校させようとして、私自身が心労で2ヶ月間外出できなくなる「共倒れ」も経験しました。 現在、息子は調理師を志し、娘はカナダへ留学中。「親が倒れるほど悩んでも、未来は必ずひらける」という実体験を元に、記事を執筆しています。

目次

不登校のはじまり:思春期の「揺らぎ」とは

みなさんは、”不登校”と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
不登校は子どもの成長にとって大きな転換期である”思春期”に多くみられます。
思春期は、子どもが親の手から少しずつ離れ、友人や学校生活に多くの時間を費やす時期。心が揺れ動きやすく、自分の存在価値や居場所を真剣に探す時期でもあります。そんな”心の不安定さ”が、不登校という形ででることもあるのです。

ケース① 自己肯定感の低さに苦しんだAさん

かつて、私が指導したある女子生徒Aさん(中2)は、時々「学校に行きたくない」と口にするようになりました。
ご両親は「思春期にはよくあること」と考えていたそうなのですが、高1の夏休み前には欠席しがちになり、その後学校に戻ることはありませんでした。

Aさんは普段から自己肯定感が低い傾向にあり、
「私なんてまだまだ」
「○○ちゃんはもっと頑張っているのに」
と他人と比べては落ち込む日々だったそう。
理想と現実のギャップに苦しみ、少しずつ自信をなくしていってしまったのかもしれません。

【保護者の視点】ただのサボりか、SOSか

「思春期だからよくあること」というのは、親として一番判断に迷うポイントです。
しかし、私の経験や周囲の話を聞くと、子どもは「本気で行けない時のSOS」と「ただの愚痴」を使い分けていることがあります。

スタッフ(スミレ:一時不登校を経験)は、「本気のSOSを出した時、母が学校を休ませてドライブに連れて行ってくれた。その『逃げ道』があったからこそ、翌日からまた頑張れた」と語っています。
「行きたくない」という言葉の裏にある切実度を見極めるには、普段から家庭が「弱音を吐いてもいい安心できる場所」になっているかが重要だと感じます。

ケース② “場違い感”に押しつぶされたBくん

別の男子生徒Bくん(中2)は、学期末試験の成績をきっかけに登校が難しくなりました。
それまでは中の上くらいの成績を維持していたものの、数学と英語の点数が大きく落ち、成績順の席替えで後方に移動させられてしまったのです。

この学校全体に漂う、”勉強ができること=価値”というムードに、さらに追い打ちをかけたのは、教師からの「公立から来た生徒は遅れやすいからね」という一言でした。この言葉によって、Bくんの自尊心は傷つけられてしまいました。幼い頃に感じていた”学ぶ楽しさ”も次第に消えていき、過度なプレッシャーが彼の心をじわじわとむしばんでいったのでしょう。

【当事者の視点】成績=人間の価値という恐怖

(元当事者スタッフ:スミレより)
私自身、高校1年の時に英語の成績別クラス分けで「一番下のグループ」になった経験があります。正直くやしくて、とても恥ずかしかったです。
私はクラスの雰囲気が良かったので乗り切れましたが、もし「成績が全て」というプレッシャーの中で孤立していたらと思うと、Bくんの心が折れてしまったのも痛いほど分かります。
特に受験を意識する時期、「勉強ができない自分には価値がない」と思い込んでしまう子は少なくありません。

その他のケース:見落としがちなサイン

不登校のサインは様々で、周りの人には見落とされがちです。私もまだ全てを把握できているわけではありませんが、実際に見てきた“よくあるパターン”をいくつかご紹介します。

部屋の変化から孤立へ(小5)

あるお子さまは自宅の部屋が急に散らかり始め、お菓子のゴミや衣類が散乱するようになりました。やがて仲の良かった同級生たちから離れ、特定の友人以外とはほとんど関わらなくなり、そのまま不登校になりました。
このように、部屋の変化が不登校のサインである場合もあります。

【専門家の視点】部屋は「心の鏡」

(編集長:スガヤより)
不登校の子の部屋に遊びに行ったことがありましたが、心に余裕がない時の部屋は、かなり荒れてましたね。
しかしのちに書籍で調べたら、これは「だらしない」のではなく、自暴自棄になっていたり「片付ける気力(エネルギー)さえ枯渇している」状態と知りまして、しばらく放置するよう保護者に伝えました。
部屋が散らかり始めたら、叱るのではなく「エネルギー切れのサインかも?」と捉え直し、休息を促す視点が重要です。

「今日は行きたくない」が2か月で不登校に(小1)

「今日は行きたくない」と言い始めてから、約2か月で学校に通うことが難しくなったお子さまもいます。保護者の方は「突然のことではなく、毎日の小さな変化の積み重ねだった」と語っていました。

表面的な明るさの裏側には・・・

ある子は、親に心配をかけたくないと”平気なふり”を続けていました。外に出るのが怖く、教室に入るのがしんどい。人目や何気ない言葉が心に刺さってしまうことがあったそうです。
サインは周りが気づくことのできないほど、本当に些細な場合もあります。

【当事者の視点】「明るいから大丈夫」の落とし穴

(元当事者スタッフ:スミレより)
高校3年の受験期、私は一度だけ限界を超えて保健室に駆け込んだことがあります。その時、先生に「いつも明るいスミレさんが、そんなに抱えていたなんて」と驚かれました。
当事者ですら、自分の限界なんて分からないことがあります。表面的な明るさは、親や周囲に心配をかけまいとする「精一杯の仮面」かもしれません。
だからこそ、ある日突然コップの水が溢れるように動けなくなってしまうのです。

友達のささいな一言が引き金に

ある子は、友達からの「○○くんっておっちょこちょいだよね」という一言がぐさりと刺さり、友達付き合いが怖くなって学校に行けなくなったそうです。
サインがなくても、不登校になる可能性はあります。

発達特性と環境のミスマッチ

発達特性が不登校につながる場合もあります。
ある発達特性をもつ子は、給食の食感が苦手なことにストレスを感じていました。また、急な切り替えや見通しの立たない予定に不安でいっぱいになったり、怒っている先生の声を聞くだけで体が固まってしまったりすることもありました。
このような特性が学校の環境と噛み合わず、不登校のきっかけになることも少なくありません。

家庭環境やトラウマが影響することも

不登校には、家庭での人間関係や環境の変化が影響している場合もあります。
たとえば、家庭の中で強い言葉が飛び交ったり、親が感情的になったりしてしまう場面が続くと、子どもは安心して過ごすことが難しくなることがあります。
その結果、「愛されていないのかもしれない」「自分はダメな子どもだ」と感じ、自己否定につながる場合もあります。

不登校の共通点と傾向

不登校の予兆は、ほとんどの場合、突然ではなく、毎日の小さな変化の積み重ねとしてあらわれます。実際、多くの不登校の子どもたちに共通していたのは、

  • 自己評価の低さ
  • 不安
  • 人間関係

といった日々の積み重ねでした。

そして、多くの場合、子どもに「どうして学校にいけないの?」とたずねても、

  • 不機嫌になる
  • 無視する
  • しつこいから適当に答える
  • 心配させたくないから別のことを言う

といった反応が返ってくることがあります。
つまり、子どもが語る”理由”は本音とは限らないのです。
それどころか、不登校になった子どもたちの多くは「そもそも自分でもなぜ不登校になったかわからなかった」と話します。それが理解できるようになるまでに数年かかったということも少なくありません。

【編集長の視点】理由は「言えない」のではなく「分からない」

(元当事者スタッフ:ぜりーより)
不登校を体験して、数人から「なぜ行けないの?」と聞かれて、一度も明確に答えられませんでした。高校を卒業した今でも、上手く説明できません。
強いて言えば「空気」という感じです。

(編集長:スガヤより)
そもそも「なぜ?」は”詰問のなぜ”など言われます。大人もそうかと思いますが、問われるとつい、責められているようにプレッシャーを感じてしまうのですね。
保護者はつい理由を知りたがりますが、「言いたくない」のではなく「自分でも分からない」のが正解だと知るだけで、お子さんへの接し方は大きく変わるはずです。

不登校の小さなサインを見逃さないために

本当の理由はわからなくても、不登校になる子どもたちの多くは、その前からゆっくりと”小さなサイン”を出しているものです。ここでは、身体・行動・感情・人間関係といった観点から、それぞれによく見られるサインをご紹介いたします。

身体的なサイン

不登校の予兆として最も多いのが身体的な不調です。
「おなかが痛い」「頭が痛い」
こうした訴えが増え、病院を受診しても「異常なし」と診断された場合、それはほぼ確実に”心のSOSサイン”だと私は考えています。

  • 吐き気、過呼吸、めまい、立ち眩み
  • 動悸、息切れ
  • 起きるのが遅くなった
  • あまり話さなくなった
  • ため息が増えた

行動のサイン

行動の変化も重要なサインです。

  • 夜ふかしが増える
  • 欠席・遅刻・早退が増える(3日連続以上になると要注意)
  • 部屋が急に散らかる
  • 暴力的な言動が出る
  • 授業中の発言が減る
  • 人目を避けて活動する
  • 特定の素材の服を嫌がる
  • 靴下の柄をきっちりそろえたがる

精神・感情的なサイン

精神的なサインは、「学校に行きたくない」という言葉から始まることが多いです。
「私なんか頑張ってない」「自分はダメだ」といった否定的な言葉が増えたり、ため息ばかりついて怒ったり泣いたりしなくなるような”感情表現の乏しさ”もみられることがあります。

対人関係・環境のサイン

  • 仲の良かったグループから外れる
  • 友達のささいな一言をきっかけに友達付き合いが怖くなる
  • 特定の友達以外とは関わらなくなる
  • SNSやオンラインゲームの時間が増える
  • 「部活動をやめたい」と言い出す

年齢や発達段階による”不登校サイン”の違い

不登校のサインは、お子さまの年齢や発達のステージによって多様なかたちであらわれます。

小学生に見られるサイン

低学年(小1~小3)
入学したての時期は、環境の変化に不安を抱きやすく、”登校しぶり”が目立ちます。

  • 身体的サイン:朝になると「おなかが痛い」「頭が痛い」と訴えるが、病院では異常なしと診断される
  • 行動的サイン:緊張で固まる/服や靴下へのこだわり/大きな音を嫌がる
  • 感情的サイン:「今日は行きたくない」と訴える

高学年(小4~小6)
この時期になると、人間関係が複雑になり、心のバランスを崩しやすくなります。

  • 身体的サイン:部屋が急に散らかる/片付けをしなくなる
  • 行動的サイン:特定の友達以外と関わらなくなる/SNSやゲームに没頭する
  • 感情的サイン:漠然とした不安/口数が減る/ため息が増える

中学生に見られるサイン

いわゆる”中1ギャップ”に象徴されるように、”大きな環境の変化”と精神的に不安定な時期である”思春期”が重なります。学力重視の雰囲気や部活動の人間関係によって、不登校がより複雑に、深刻になっていくこともあります。

  • 身体的サイン:登校中の吐き気や動悸
  • 行動的サイン:授業中の発言が減る
  • 感情的サイン:「私なんか頑張ってない」「すべてがめんどくさい」といった自己否定/誰にも言えないモヤモヤを抱える

高校生に見られるサイン

高校は大学受験や就職といった進路を見据えながら、自分の意思で進学する場所です。
心機一転、またがんばろうと決意しても、中学での成績の伸び悩みや人間関係の失敗が、「また同じことになるのでは」という不安を大きくします。

  • 身体的サイン:漠然とした不調や気力喪失
  • 行動的サイン:「なんとなく行けない」「行く気はあるのに体が動かない」
  • 感情的サイン:「裏切ってしまった」「申し訳ない」といった周囲に対する罪悪感

まとめ:まずは「安心基地」になることから

今回は、不登校になる前にみられる小さなサインについて解説しました。
あらためてこうしたサインに気付いたら、良い悪いを決めつけず、まずはお子さまのありのままの姿を見ることが大切です。

焦りや不安に駆られて「なんとかしてあげなきゃ!」と衝動的に動くのではなく、子どもにとっての”安全基地”になってあげること。”「長い時間がかかっても、絶対に支えよう」という心構え”こそが、子どもの回復の土台になるのだと思います。

【経験者からのメッセージ】未来は選べる

(元当事者スタッフ:まる より)
不登校のサインは、終わりではなく「生き方を見直すチャンス(始まり)」でもあります。
学校に行けなくても、私は万博に登壇しました。スミレさんは大学院に通い教員を目指してますし、ぜりーさんは演劇など、未来はいくらでも選べます。
保護者が焦ってしまうほど、子どもは不安になりますから、”どっしり”構えて、まずは不安を抱きしめてあげてほしいです。

次回は、こうしたサインがどのような背景であらわれるのか、またサインに気づいた保護者ができるサポートについて、新型コロナウイルス以降の最新の研究を踏まえて解説していきます。


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参考文献

  • 文部科学省「不登校に関する実態調査」2023年版
  • 文部科学省『児童生徒の不登校状況』2022年度速報
  • 国立成育医療研究センター「不登校の理解と支援」
  • 厚生労働省「子どものSOSサイン」
  • 日本小児保健協会「中学生の生活リズムと健康」
  • American Academy of Pediatrics. School Refusal in Adolescents.
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